ENDの書
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、グレイさん、俺は彼としばし睨み合っていると、彼は不意に背を向けて歩き出してしまう。そして、強い風が吹き、砂煙が俺たちの間に割り込むと、それが晴れた時には、ゼレフの姿はどこにもなかった。
「あの野郎・・・本を持っていきやがった」
破壊しようとしていた本を奪われてしまい、拳を握り震わせる氷の魔導士。
「ゼレフ・・・」
その場にいるすべての人間がいなくなった黒魔導士のことを思い出し、奥歯を強く噛み締める。
「イグニール!?」
立ち去った青年がいなくなった方を見つめていると、突然ナツさんが辺りをキョロキョロとして、父の名前を呼ぶ。
ダッ
「ナツ!!」
「ナツさん!!」
どこかに向かって走り出すナツさん。その方角には、アクノロギアに踏み潰されているイグニールの姿があった。
「あいつ・・・助けにでも行くつもりか?」
「いや・・・」
ナツさんが何かを叫びながらイグニールの元へ走っているけど、その唇の動きから予測するに、たぶん止められているのを無視しているように見える。
ナツさんが二頭の元に向かっていると、イグニールとアクノロギア、共に上空へと高く飛び上がっていく。
相手に向かって突進していく炎竜王と暗黒の翼。彼らが交わりあったその瞬間、思わず思考が停止した。
黒い鱗で覆われた左腕を食いちぎったイグニール。しかし、そのドラゴンの体を、アクノロギアは大きく・・・腹の真ん中から切り裂いていた。
「「あっ・・・」」
食わえていた敵の腕を落とし、地上に落下していくイグニール。アクノロギアは、その敵の真上へとやってくる。
大きく口を開き、大量の魔力を溜めていく黒き翼。それは地面に落ちた炎の竜に、躊躇うことなくブレスを放つ。
かつて一つの島をその一撃で消し去った強烈な攻撃。それは、ドラゴン同士の戦いの目の前までやって来ていたナツさんの目と鼻の先まで凹ませるほどの破壊力であった。
「イグニールゥ!!」
抉られた大地。そこに響いたのは、炎の竜の子の悲鳴にも似た絶叫だった。
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