第70話
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「いや……白状するとそれもズルしたようなものさ。なにせ規格外ではあるけど捜査官としては一流の人間をずっと見てきたから………兄貴だったらどうするだろう、兄貴だったら絶対に諦めない………そう自分に言い聞かせて俺は何とかやって来れたと思う。でも……それは俺が、俺自身として強くなれたわけじゃない。」
「…………………………」
ロイドの話を聞いたエリィは真剣な表情で黙り込み
「………最近になってやっと気付けた気がするんだ。兄貴の背中を追い続けるだけじゃ本当の意味で強くはなれないってね。はは、それに気付けるのにどれだけかかってるんだよって話なんだけど…………」
「…………ロイド。」
ロイドが苦笑していると、エリィがロイドを背中から優しく抱きしめた。
「エ、エリィ………?」
「………ねえ、ロイド。私はガイさんを……貴方のお兄さんを知らない。でも、一つ言える事があるわ。今まで私達を引っ張っていってくれたのは他ならぬ貴方自身だってこと。」
「え………」
「いつであって貴方は………私を―――私達を導いてくれた。この灰色の街で迷うだけだった私や、ティオちゃんや、多分ランディやレンちゃんも………優しくて、ひたむきで、肝心なところではニブいけど………でもやっぱり、大切な時には側にいてくれて一緒に答えを探してくれる………そんな貴方がいてくれたから私達はここまで辿り着けた。ガイさんでも、他の誰でもなく貴方だから出来たことよ。」
「……あ………」
「だから私は………この街で貴方に出会えた幸運を空の女神に感謝しているわ。ふふっ、幼い頃に日曜学校で出会っていればもっと良かった………そんな益体もないことを考えてしまうくらいに。」
「エリィ………」
「自信を持って。ロイド・バニングス。お兄さん達に憧れている所も自分自身であると足掻く所もすべてが貴方だから………そんな貴方が私達は………ううん―――私は好き………いえ、愛しているから。だから………貴方は貴方であるだけでいい。(うっ……勢いに任せて言っちゃった……私の気持ち………ロイド………貴方は私の事をどう思っているの……?……お願い、答えて…………!)」
「………エリィ………………」
エリィの心に秘められた想いを知ったロイドは振り向いてエリィを見つめ
「………ぁ……………」
見つめられたエリィは頬を赤らめてロイドを見つめた。
「最初はさ………ぼんやりとした憧れだったんだ。」
「え………」
「その子は可憐で、凛としてそれでいて包容力もあって……出会った時から、色んな意味で綺麗な女性だなって思った。これでも最初は、カッコ付けて平気なフリをして話していたけど………白状すると………ずっとドキドキしてい
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