第70話
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も何だけど大変な事になったよな。市内にいる人達………無事でいるといいんだけど。」
「そうね…………………」
「……エリィ。マクダエル市長なら大丈夫だ。警備隊や悪魔を操る黒幕にも市長を害するメリットはないさ。何とかこの事態を打破して市長たちを解放しよう。」
マクダエル市長の身を心配して黙り込んでいるエリィにロイドは気遣いの言葉をかけた。
「ロイド……うん、ありがとう。そうよね、おじいさまは何度も紛争を経験されている………この程度の危機くらい何とか切り抜けられるはずよね。」
「ああ………あの人なら絶対に大丈夫さ!」
「……ふふっ………………あーあ、何で貴方はそんな風に私のことがわかっちゃうのかしら。」
ロイドの励ましに微笑んだエリィは溜息を吐いて呟き
「え。」
エリィの言葉を聞いたロイドは呆けた。
「………考えてみれば不公平よね。私はもう………色々なものを貴方に曝け出してしまった。なのに貴方の方は…………」
「え、えっとエリィ………?」
そしてジト目のエリィに見つめられたロイドは戸惑い、エリィは黙り込んだ後静かな口調である事を尋ねた。
「―――ねえ、ロイド。お兄さんの背中、少しは近づいてきた?」
「あ………」
「たぶん貴方は………お兄さんの背中をずっと追い続けて来たのよね。貴方がよく言っている”壁”という言葉………あれはひょっとしてお兄さん自身の事を指してもいるんじゃないかしら?」
「………ああ、多分そうだと思う。…………………」
エリィに尋ねられたロイドは頷いた後黙り込み、近くの手すりに近づいて、手すりにもたれかかって話し始めた。
「―――昔からさ、兄貴は俺のヒーローなんだ。どんな逆境にもめげずに何でもやり遂げる凄いヤツ。………だけど3年前………兄貴の背中がなくなって途方にくれてしまって………多分、俺は逃げたんだと思う。」
「え………」
「だって俺は………兄貴みたいになれる自信が無かったから。兄貴みたいに色んなものを守れる自信が無かったから………だから………知らない町へ逃げ出したんだ。」
「………でも、貴方はクロスベルに戻って来た。それは、どうして?」
「はは、やっぱり………この街が好きだったからかな。兄貴や、セシル姉や一緒に過ごした友人たち………他の町で暮らしていてもやっぱりそれは俺の一部で、忘れることはできなかったから………だから俺は無理して警察学校のうちに捜査官資格を取ったんだと思う。少しでも兄貴に追いつけないと………兄貴の代わりになれないとクロスベルに戻ってくる資格はないと思ったから………」
「で、でもそれで本当に捜査官資格を取るんだもの。お兄さんに負けないくらい素質はあったのでしょう?」
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