第16話 話し合いは続き
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まで聞き終えると立派なヒゲを撫でながら深く考えこんだ。
「異世界とはなぁ……」
「私たちの知っている世界と今の世界とで余りにも違いすぎていて、そうではないか、と推測しました」
一番に引っかかるであろうと予想していた部分に、クローバーさんもやはり引っかかっているようだった。ただ、半信半疑といった様子でクローバーさんが言葉を漏らす。俺は、その疑問に向けて言葉を差し込んだ。
「いや、過去にも違う世界から来たという証言や、元の場所に戻してと嘆いた人達が言った町や国の名が、調べても存在しないという様な事があったらしい」
「その人達は、その後どうなったのですか?」
「殆どが、その後のことについて詳しくは書いていないかった。そして、続きが有ったとしても”違う世界”だったり、”元の世界”という存在は確認できなかった、という記述で終わっているんじゃ」
「……」
正気を疑われたりしている訳ではなかったようで、ひと安心していた。けれど、異世界から来たと証明する手段は思いつかないので、完全に信じてもらえている訳でもないようだった。
***
随分話し込んでしまって、気がつけば既に図書館の中に入ってくる光がオレンジ色になっていた。それから、大事なことを忘れていた。
「紹介が遅れましたが、彼女たちは艦娘と呼ばれる存在。こちらが天龍、そして夕立、吹雪に、舞風です」
「オレが天龍」「私が夕立♪」「吹雪です。宜しくお願いします」「舞風です!」
皆の事を紹介する前に話し合いが始まってしまった為に、話し合いが粗方終わった所を見計らって遅れてしまった彼女たちの紹介をしっかりと済ませる。
「皆さん、よろしくじゃ。しかし”艦娘”とは、また知らない新たな言葉が出てきたのぉ。興味深い!」
先の遠征で出会った海軍の人達には詳しく話さなかった事を、クローバーさんには教えておく。ここまで事情を説明して今後付き合っていったら、彼女たちの事もいずれ知る事になるだろうし早めに伝えておいたほうが良いだろう。
艦娘の事をクローバーさんに、俺も分かる範囲で説明していく。
「人造人間のようなものか……?」
「人造人間?」
クローバーさんの疑問の言葉は、誰にも向けていない、無意識で呟かれた言葉だった。俺が聞き返すと、しまったというような苦い顔をするクローバーさん。どうやら、本当に無意識で出た言葉だったようで、しかも聞かれたら不味いというような類の言葉だったらしい。
けれど、クローバーさんは詳細を話してくれた。
「人造人間とは、海軍本部で技術研究が進めている物じゃ。ただ、海軍の軍事機密として情報封鎖されていて、名称以外は詳しいことはワシも知らなんだ。語感から察するに、機械の人間を作ろうとする計画なんじゃろうと、わしは思
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