外伝〜エリィの告白〜
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けど、優しい人で俺の知らない事は何でも教えてくれる人………そして兄貴とはまた違った”凄さ”でどんな難事件もやり遂げる凄い人。………だけど3年前………兄貴の背中がなくなって途方にくれてしまって………多分、俺は逃げたんだと思う。」
「え………」
「だって俺は………兄貴みたいになれる自信が無かったから。兄貴みたいに色んなものを守れる自信が無かったから………だから………ルファ姉の俺が一人前になるまで見守ってくれるという優しさに甘えて、知らない町へ逃げ出したんだ。」
「………でも、貴方はクロスベルに戻って来た。それは、どうして?」
ロイドの話を聞いたエリィは優しげな微笑みを浮かべて尋ねた。
「はは、やっぱり………この街が好きだったからかな。兄貴や、セシル姉やルファ姉。一緒に過ごした友人たち………他の町で暮らしていてもやっぱりそれは俺の一部で、忘れることはできなかったから………だから俺は無理して警察学校のうちに捜査官資格を取ったんだと思う。少しでも兄貴に追いつけないと………兄貴の代わりになれないとクロスベルに戻ってくる資格はないと思ったから………」
「で、でもそれで本当に捜査官資格を取るんだもの。お兄さんに負けないくらい素質はあったのでしょう?」
「いや……白状するとそれもズルしたようなものさ。なにせ規格外ではあるけど捜査官としては一流の人間をずっと見てきて………一課をも超えるルファ姉からも色々教わっていたから………兄貴やルファ姉だったらどうするだろう、兄貴だったら絶対に諦めない、ルファ姉はこの場合、どうするか………そう自分に言い聞かせて俺は何とかやって来れたと思う。でも……それは俺が、俺自身として強くなれたわけじゃない。」
「…………………………」
(…………………………)
ロイドの話を聞いたエリィは真剣な表情で黙り込み、ルファディエルは目を伏せて静かな様子を纏って黙り込んでいた。
「………最近になってやっと気付けた気がするんだ。兄貴やルファ姉の背中を追い続けるだけじゃ本当の意味で強くはなれないってね。はは、それに気付けるのにどれだけかかってるんだよって話なんだけど…………」
「…………ロイド。」
ロイドが苦笑していると、エリィがロイドを背中から優しく抱きしめた。
「エ、エリィ………?」
(お!?またもや面白そうな事が起こる予感!)
エリィの行動にロイドは戸惑い、ギレゼルは興味深そうな表情になった。
「………ねえ、ロイド。私はガイさんを……貴方のお兄さんを知らないし、ルファディエルさんの全ても知らない。でも、一つ言える事があるわ。今まで私達を引っ張っていってくれたのは他ならぬ貴方自身だってこと。」
「え………」
「いつであって貴方は………私を――
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