第3章 リーザス陥落
第92話 大隊長 ミネバ・マーガレット
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純な馬鹿程、扱いやすいってもんは無いのさ。……だが、その望みは叶いそうには無いがね」
邪悪極まりない笑み。極自然に出せるミネバの嗤いだった。命を散らす部下を前にしても揺らぐことは無かった。
そう、敵諸共押し潰す事への一切の躊躇いは無かった。何より 軍務に駆け込む様な者を放置しておく訳も無い。この女を御する事が出来るのは、たった1人しかいない。弱肉強食を旨としているミネバを、完全に力で抑えつける事が出来るヘルマンのたった1人の男……。
第3軍――将軍 トーマ・リプトン。
「あの化け物に正面から喧嘩売る程、私も馬鹿じゃない。……あわよくば、この戦争で……ね」
それこそが、ミネバの真の狙いでもあった。
いや、元々上手くいくとは思っていない。その男の強さは誰よりも知っているからだ。あれ程の男がリーザスの残党如きに、打ち破れる物じゃない、と思っていた。
だが、破竹の勢いで領土奪還を続けるリーザス解放軍を前に、考えを少し改めたのだ。ここを攻めてこなければそれでも良い。リーザスにいる本隊を守るつもりは更々ない。兵力をここに集中させたのは、部隊を2つに分ける為。……極力、あの男の側近を少なくさせる為にだった。
―――あの男の殉職。……戦死をが起こる事を狙っていた。
「まぁ……あの化け物を殺れる程の者がいるとは思えないが」
正直上手くいく確率は低いとは思っていたが、ミネバは万が一の為に出来る事は全てしておく。
自分自身に風向きを向ける為に。
そして、ミネバは合図を送った。その数秒後……軈て、鉱山は地響きと地鳴を起こしながら激しく揺れ、崩落を始めた。大小の無数の岩がまるで雨霰の様に、降り注ぐ。
それを下衆びた笑みを浮かべながら、喜々とし眺めるミネバ――。
だが、その悪魔の所業は、悪魔の笑みは、長くは続かない。
「なっ……!!」
直ぐに、笑みは消え失せ―――、変わりに驚愕の表情を浮かべるのだった。
更に遡る事、数秒前。
「ランスだけだったら、無視して見殺しってのも有りだったかもね」
「……それはそれは。冗談に聞こえんな。志津香が言うと」
「馬鹿」
精密さが必要とされる今回の作戦において、軽口を言い合える程の2人。
ランスの事を悪態つく志津香だったが、手を抜く様な真似は決してしない。……あの場所で戦っているのは、ランスだけじゃないから。命を懸けて、戦ってくれている。自分達を信じて、戦ってくれている仲間達がいるから。
軈て、チューリップ3号の砲撃準備が整った。
マリアは、ヒララ合金製の弾頭で作られた砲弾を装填し――ユーリの指示
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