第三十二話 あちこち回ってその三
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「それも特撮なの?」
「ゴルゴ13描いてる人の漫画が原作の。これがかなり凄い怪人ばかりだったんですよ」
こう私に説明してきました。
「もう物凄いのばかりでして」
「そんなに怖かったの」
「夢に出たことありますよ」
どうやら本当に怖い怪人ばかりだったみたいです。
「あれで起きたら寝汗びっしょりで」
「本当に凄かったのね」
「そうなんですよ。もう怪談よりずっと怖くて」
こんな話をしながら今は歌舞伎の劇場の前を通ります。そこもやっぱりお芝居で使う場所ですけれど忠臣蔵の絵札がやけに目立ちます。
「ああいうのじゃない限り大丈夫ですから」
「幽霊とかそういうのも?」
「ああ、そういうのは全然平気ですよ」
とのことです。
「ですから。二人で楽しみましょう」
「わかったわ。それにしてもここって」
あらためて周りを見回してみます。その映画村を。
「江戸時代がそのままタイムスリップした感じがするわね」
「だからいいんですよ」
阿波野君はこれまたにこにことしています。
「何か今にもお侍さんや忍者が出てきそうで」
「忍者ねえ」
「忍者もお好きですよね」
「まあね」
はっきり言って嫌いではないです。子供の頃はどうしても忍者に憧れるものですけれど私もでした。何気にくの一みたいになりたいなって思ったりもしました。
「先輩なんか。そうですね」
「何?」
「くの一の定番のあのミニの服なんか」
よくあるあの格好です。どうしてくの一って太股出すのかわからないです。
「どうですか?」
「ミニスカート好きじゃないから」
その格好は嫌です。太股出すのってどうしても抵抗があります。
「それはね」
「駄目なんですか」
「あの忍者装束は好きだけれど」
あれは大好きなんですけれど。
「それでもね。あれはね」
「何か寂しいですよ、それって」
「寂しいとかそういう問題じゃなくて」
だから足を出すのは嫌いなんです。正直言って自信ないですから。
「ああいう格好は」
「先輩スタイルいいのに」
しかもここでまたこんなこと言ってくるし。
「本当に似合いますよ。どうですか?」
「だからいいわよ」
それは何度も断りました。
「それはね」
「何だ、面白くないですね」
「面白いとか面白くないとかそういう問題じゃないでしょ」
全く。いつもいつもこうです。
「大体足を出すのが好きじゃないから」
「じゃあ制服の時以外はやっぱり」
「そうよ。大抵ズボンよ」
はっきりと答えてあげました。
「だってひのきしんするじゃない」
「ええ」
「そういう時やっぱりズボンだと動きやすいから」
「それもあるんですか」
「そういうこと。わかったわね」
「そうですか。じゃあ忍者装束ですね」
また忍者にこだわっ
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