第三十二話 あちこち回ってその一
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あちこち回って
花魁さんになった阿波野君との写真を撮ってもらってから。その化粧から元に戻ったこの子とそのまま映画村巡りを続けていました。
「このお池ですよね」
「ええ、ここでいつもね」
今度はお池に来ました。丁度お池の中から怪獣が出て来ました。
「夜になると人が切られてね」
「何かしょっちゅう観ますよね、その場面」
「そうよね。日本橋とかお白洲の場面にしろね」
「それ考えたら馴染みの場所ですね」
阿波野君はこんなふうに言いました。
「このお池も」
「それにしても色々知ってるのね」
私はこのことにかなり感心しました。
「時代劇のこと」
「好きですしね」
「そうみたいね。特撮と時代劇が好きなのね」
「はい、そうです」
まさにその通りでした。
「特撮が一番ですけれど」
「最近じゃ特撮でもこの映画村使うしね」
「ですよね。昔は江戸時代とかが舞台の特撮だってあったんですけれどね」
「ライオン丸とか?」
「はい、それです」
やっぱりそれでした。これは私も知ってます。
「これがまたかなり面白かったんですよ」
「ふうん。そうなの」
「リメイクはされましたけれど舞台は未来で」
「あのパッチギに出ていた人が主役だったわよね」
これは知っていました。
「確か」
「はい。あの人演技上手くて」
そういえば仮面ライダー電王にも出ていました。色々な役を上手に演じておられます。私はどうしても佐藤健さんや中村優一さんを観てしまいますけれど。
「波岡さんですよね」
「ええ、その人」
何でも大阪出身らしいです。
「パッチギは知らないけれどライオン丸は興味あるわ」
「まあパッチギは僕も知らないですけれどね」
「そうなの」
「あの監督好きじゃないんですよ」
こう言うのでした。
「態度とか悪いし。言ってることも好きじゃないですから」
「ふうん。そうなの」
「あくまで僕個人の意見ですよ。好きじゃないんです」
「だから観てないのね」
「はい」
阿波野君の顔は曇っています。
「ああした人は。そもそも観ていない映画を批判するっておかしいですよ」
「そういう人なの?」
「それで観てないわボケ、とか言葉遣いも悪いですし」
「何処かのボクサーの親子や球界の番長みたいね」
私はどちらも大嫌いです。ああした人間としてとても下品な人には絶対になってはいけないと思って今まで生きてきましたし今でもそうです。
「同じような奴ですね。はっきり言って」
「ふうん。その人が随分嫌いなのね」
「正直言いまして大嫌いです」
「そうなの」
「はい。ですからあいつの話はこれで終わりってことで」
「わかったわ。それじゃあね」
「まあ特撮も時代劇もどっちも好
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