第三百四十五話
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第三百四十五話 牛乳を
給食の牛乳もだ、美樹は飲もうとしなかった。それで彼女のクラスメイト達は怪訝な顔になって美樹に尋ねた。
「牛乳飲まないの?」
「美樹ちゃん牛乳好きなのに」
「どうして?」
「何かあったの?」
「飲むとね」
美樹はクラスメイト達に正直に答えた。
「背が大きくなりそうだから」
「えっ、大きくなるから?」
「これ以上背が」
「だからなの」
「飲まないの」
「そうするの」
「これ以上高くなったら困るから」
また正直に言った。
「それでね」
「けれど牛乳ってね」
「そうよね」
「栄養一杯あってね」
「飲んだら凄くいいから」
「だから給食にも出るのに」
「それでもなの」
背が高くなりそうだからというのだ。
「飲まないの」
「いや、飲んだ方がいいわよ」
「牛乳はね」
「水分補給にもなるし」
「だから飲もう」
「瓶一本でもね」
「一本位ならいいんじゃ」
こう口々に言ってだ、先生も美樹を心配して言う。
「飲んだ方がいいわ」
「けれど背が」
「一本位なら何でもないわ」
「そうなんですか」
「それに牛乳は背だけじゃないから」
「他のことにも栄養が必要だからですか」
「そう、だからね」
それが理由だからというのだ。
「牛乳は飲んでね」
「一本位なら高くならないですか」
「というかまずは飲んで」
先生はとにかく今は美樹に牛乳を飲ませることを選んだ、それであえてこうしたことを言ったのである。
「いいわね」
「わかりました」
美樹もここで遂に頷いた、そして。
自分の牛乳を飲んだ、だが。
先生はその美樹に話をすることにした、その話は美樹にとっては非常に重要は話だった。少なくとも今も彼女にとっては。
第三百四十五話 完
2016・5・29
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