第七幕その三
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「この子が起きている様にすればいいんですよ」
「と、いうと」
「ボタンにいつもお菓子を食べてもらいましょう」
「お菓子をじゃな」
「はい、ボタンはお菓子が大好きです」
他の子供達と同じくです、ボタンはお菓子が大好きです。それこそ毎日食べてもそれでも飽きることはない位です。
「お菓子を食べている時は起きてますから」
「うん、その時はね」
ボタン自身も言います。
「僕は絶対に起きているよ」
「それなら」
ジュリアはボタンの言葉を聞いてまた言いました。
「ボタンにね」
「迷路にいる間は」
「お菓子をずっと食べていればいいから」
「じゃあ」
「それでどうかしら」
ジュリアはボタン本人にお顔を向けて尋ねました。
「貴方としても」
「うん、それじゃあね」
笑顔で応えたボタンでした。
「迷路にはお菓子をたっぷり持って行くよ」
「そしてそれをいつも食べていればね」
「歩きながらね」
「寝ることはないわ」
「そうね」
オズマもそのお話を聞いて頷きました、そして。
まずはボタンにです、頭を下げて言いました。
「御免なさい」
「どうして謝るの?」
「貴方だけを差別する様なことを言ったから」
だからというのです。
「御免なさい」
「いや、僕が寝てね」
そしてと言うボタンでした。
「何処かに行っちゃうのは確かだから」
「それで、というのね」
「王女様がそう言うのも当然かな」
こう言うのでした。
「だからいいよ」
「そう言ってくれるのね」
「うん、それじゃあお菓子を一杯持って行くよ」
「色々あるぞ」
王様はお話が終わったところでボタンに声をかけました、牛乳でトーストを流し込んだ後で。
「チョコレートにクッキー、キャンディにとな」
「ここのお菓子を持って行っていいんだ」
「好きなものを好きなだけな」
それこそというのです。
「何でもどれだけでも持って行くのじゃ」
「それじゃあそうさせてもらうよ」
「わしは遠慮が嫌いじゃ」
実際にこの王様はそうです、遠慮は好きではないのです。
「することもされることもな」
「だから」
「そうじゃ、そんなことはせずにな」
「何でもどれだけでも持って行ってもいいんだね」
「そうじゃ」
まさにと言うのでした。
「ではよいな」
「うん、それじゃあね」
ボタンは王様の言葉に頷きました、そしてです。
ボタンは朝御飯の後で王子から貸してもらったリュックにです、色々なお菓子を一杯詰め込みました。そのうえで言うのでした。
「皆の分も入れたよ」
「皆っていうと?」
「一緒に迷路に行く皆の分をだよ」
聞いてきたつぎはぎ娘への返事です。
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