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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十九話 内乱への道 (その2)
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処か疲れたような表情をしている。侯はヴァレンシュタインに反対なのだろうか?
「それから先は私が話す。新領土の統治は帝国とは別物にする。その場合、新領土の統治は帝国より開明的なものになるじゃろう」
「……」
新領土の統治は帝国より開明的なものになる……。
「帝国の平民たちは不満を持つじゃろうな。何故占領地のほうが恵まれているのかと……」
「!」
確かにそうだ。誰でも不満を持つだろう、と言う事は……。
「無視すれば帝国本土において暴動が生じるじゃろう。つまり、新領土を得れば遅かれ早かれ政治の改革が必要になる」
「……」
「それならば今やったほうが良い。反乱軍を征服するために政治改革をすると唱えてブラウンシュバイク公達を挑発し反乱を起させる。彼等を潰してしまえば政治改革もし易い。それがヴァレンシュタイン、卿の意見だな」
「そうです」
溜息が出た。俺だけではない、彼方此方から溜息が出ている。反乱軍を打ち破り征服する。そのことが帝国内部の政治改革に繋がるとは思わなかった。
反乱軍を征服するためと唱えれば、貴族たちも正面から反対はし辛いだろう。反対すれば、反乱軍に味方するのかと責められることになる。そして改革が進めば、徐々に貴族たちは政治的特権を失うことになる。
貴族に課税し農奴を廃止する。そして平民の権利の拡大、即ち貴族の権利の縮小だ。どれも貴族にとって耐えられる事ではあるまい、必ず暴発するだろう……。
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