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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第531話】
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「に、せ……もの……?」


 苦しそうに呟くラウラ、無論俺は偽者ではなく本物だ、意識も俺のもの――拳を構える俺に、すらりとロングソードを抜く偽者一夏。

 形勢は明らかに不利なものの、退くわけにはいかなかった――ここで退けば、ラウラを見捨てる形になる。

 刹那、一瞬で間合いを詰めた偽者はロングソードを横一閃――命の危機から来る超反応でそれを屈んで避けるとはらりと切られた髪が舞う、そのまま床に手をつき、ブレイクダンスをするように開脚旋回を繰り出し、足下を崩した。

 激しく不快な金属音が鳴り響く、素早く握ったロングソードの柄を蹴り、部屋の端へと追いやるとそのまま馬乗りになって唯一むき出しの顔面に向かって何度も何度も殴り付ける。

 無表情のまま殴られ続ける偽者一夏――苦しそうに喘ぐラウラが視界に映り、更に俺は拳を力強く握り締める。


「ぐ、ぅ……ぁあ! わ、たしのよ、めは……!!」

『ワールド・パージ介入、記憶改竄開始』

「アァッ!! ち、違う……! わ、私の嫁は……ヒルトだ! 織斑一夏じゃ――アアアアアッ!!」


 抱えた頭を何度も何度も横に振るラウラのその苦しそうな様子に、俺は吼える。


「ラウラ! そんな攻撃に負けるな!! 俺を嫁だと――そう言い続けたいなら……そんなまやかしの精神攻撃何か、はね除けろ!!」


 怒りに任せた拳が偽者一夏の顔面にめり込む――そこから一夏の身体は光の粒子へと崩壊していき、ラウラも――。


「うぅ……わ、たしの嫁は――――有坂ヒルト、ただ一人……だ!!」


 目蓋が開き、ラウラの紅蓮の眼が開眼されると同時に響き渡る声。


『ワールド・パージ、強制介入失敗――』


 その言葉を最後に、室内に平穏が訪れ、精神攻撃に磨耗したラウラは力なく倒れ込む。

 偽者一夏も既にその姿はなく、着ていた鎧も粒子に変わり、残されたロングソードも消えていた。

 ラウラに駆け寄り、脈をはかる――脈拍は正常で、彼女が気を失っただけだとわかりホッと安堵した。

 安堵と同時に空間の揺らぎを感じ、亀裂が入り、世界は崩壊していく。

 ラウラに俺の上着の学生服を着せ、抱き抱えた途端、視界を覆う目映い光に包まれた。

 その一方、こことは違う別の電脳空間、辺り一帯が漆黒の闇に包まれる中、電波の行き交う光に照らされた少女。


「……有坂ヒルトのデータ回収はほぼ不可能……。 このまま織斑一夏で代用しなければ……」


 誰に聞かれることのない空間で呟く少女、電脳空間に表示されているのは織斑一夏のデータ及び有坂ヒルトのデータ。

 織斑一夏のデータは完全にあるものの、有坂ヒルトのデータだけが不完全な状態で表示されていた。

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