19話
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深い溜息を零す鬼一。どうやらこれ以上は隠すつもりもないようだ。
「……気づいてたんですか?」
「……いつからです?」
「……そうですね。最初は小さな違和感のようなものだったので無視していましたが、鈴さんとの戦い
よりも前から明確になりましたね」
鬼一も明確な時期は分からない。だが、ISに乗り始めてからというのは間違いないなかった。意識と身体が一致していないような違和感。
「原因そのものは正直分かりません。IS学園に常在しているお医者さんにも検査してもらいましたが、異常はなかったです。強いて言うなら過労の気があるとのことでしたが」
「でしたら、先ずはしっかりとお休みになられるべきです。クラス代表決定戦からまだ時間がそこまで立っているわけではない以上、小さな疲労が残っていることも考えられます」
IS学園には一定の医療環境が整えられており、精密検査だって受けることが可能だ。その精密検査で鬼一の身体に問題はなかった。
「ただでさえ慣れない環境なのでご自身でも気づかない内に様々な疲労が蓄積されていることは充分考えられます。今はしっかりお休みになられるのがよろしいかと……」
「……そうですね。今は身体を休めることにします。休めている間にもやれることはあるのでそっちに集中することにしますよ」
セシリアのその言葉に鬼一は肩をすくめる。ここまで言われてしまえば鬼一も休まざるを得ない。少なくとも数日は休むだろう。
鬼一は冗談を交えながら立ち上がる。
「流石にこれ以上セシリアさんを怒らせたら今度は平手打ちで済みそうにもないですしね」
「……鬼一さん!」
「よし、ようやく動けるようになった。さて、とセシリアさん。時間も時間ですし、ご飯でも食べに行きましょうか?」
―――――――――
鬼一とセシリアとは反対方向のピットでは一夏と鈴が話していた。鈴はISスーツの出で立ちにタオルを肩にかけており、一夏は鈴と違いIS学園の制服のまま鈴にドリンクを手渡していた。その表情は優れていない。
「―――なぁ、鈴」
「何よ、一夏」
「……俺はどうすればいいんだろうな?」
一夏のその言葉に鈴はドリンクを一口飲んでから言葉を放つ。鈴にそのつもりはなかったが、突き放すような言い方になってしまう。まだ自分の不甲斐なさを拭いきれていないようだった。
「どうしようもないわよ。あんたはあんたで歯を食いしばって戦うしかない。口にしたんでしょ? 『千冬さんを守ること』を」
「……だけど、その、今のやり方は間違っていると思うんだ。やっぱり、誰かが犠牲になるなんてことは」
そこで鈴はふと鬼一の言葉を思い出した。過程も結果の両方を取ることが出来ないなら結果だけで満足すべ
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