暁 〜小説投稿サイト〜
世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
19話
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ままにしていてください。すぐにピットにまで飛びますので」

 セシリアは鬼一の腰に手を回して支えたまま静かに浮き上がる。そこで鬼一は一度、静止させた。まだ鈴に話すことがあるようだ。

「鈴さん、多分、僕と一夏さんは最終的にお互いにとっての障害になると思います。僕らは決定的に道が違っています。そして、少なくとも僕はそれを曲げるつもりはありません」

 ―――もし僕が曲げるとしたら、今までの道が間違っていなくとも『これからの道が間違っている』と思ったときだろうな。

「……まだ僕の中での予想ですが、僕が一夏さんをへし折るか、それとも僕が一夏さんに潰されるかもしれませんね。本人にその意志はなくとも、多分状況がそれを許してくれないような気がします。ISの現在の在り方を考えれば充分に有り得そうだから」

 鬼一のその言葉に鈴は困惑したように顔を歪め、同時にその話を聞いていたセシリアは少し怒ったように口を挟んだ。

「……鬼一さん、なんのお話でしょうか? それよりも早く身体を休めるようにしたほうが……。鈴さん、申し訳ありませんが御手をお借りしてもよろしいでしょうか?」

 セシリアのその声に鈴は慌ててセシリアの反対側から鬼一を支える。本来なら鬼神を解除してからの方が楽なのだが、今の鬼一の状態を考えるなら鬼神を展開したままの方が楽なのだ。

 ISの機能によって鬼一の回復速度が底上げされている、負担を軽減している状態である以上、意識を失うほどまでに限界に到達している鬼一に鬼神を解除させれば再び倒れるということは容易に予想できた。

「……申し訳ありませんが、お願いします」

―――――――――

 ピットに到着し、壁に背中を預けた鬼一はそのままずり落ちた。鈴の姿はない。荷物を反対方向のピッどに置いていたので、そちらのピットに向かったのだ。

「……流石に強かったです。鈴さんは」

 顔が青い鬼一は鬼神を纏ったまま呟く。鬼神の展開を解除していないのは鬼一の体力回復を少しでも速めるためにだ。体調を整えるための機能がISに搭載されている以上はそれを利用しない手はない。

「……当然です。中国の『代表候補生』なんですから」

 鬼一とは対照的にセシリアは既にブルーティアーズを既に解除している。専用のISスーツを纏ったセシリアは鬼一を心配そうに見ながら声をかけた。
 その声に鬼一は、セシリアの自分の言葉に気分を害したのだと判断。視線を一瞬だけセシリアに向けてすぐに視線を外した。

「別にセシリアさんを馬鹿にしているわけじゃありませんよ?」

「お、怒っているわけではございませんわ」

 鬼一がセシリアから視線を外したのはセシリアがISスーツを着ていたというのが大きな理由だ。今まで女性を意識しないで生きてきた鬼
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