19話
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った。
「私も、その1人よ。千冬さんもそうでしょう?」
―――……千冬姉は、どう思っているんだろう……。
鈴の背中を見つめたまま一夏はそんなことを考えた。自分の姉に聞いたら、一体どんな答えが返ってくるか気になった。
自分の姉は「言葉を尽くせ」と言った。それがどういうことなのかはまだよく分からない。だけど、鈴と話していて思ったのは自分の価値観が『狭い』と感じさせてくれた。間違っているかは分からない。だけど、そう思った。
「沢山迷いなさい。絶対に思考を止めないようにね。止めたらそこで成長はなくなるわよ。少なくとも迷ってるうちはまだやれることはあるわ」
―――私だって迷ってるくせになーに偉そうに言ってるんだか。
鈴は内心で苦笑いを零す。
「私と鬼一の試合を見て、何か感じることはあった? もしくは鬼一の戦いを見てきた中で何か感じることはあった? ことIS戦でアイツは初心者とは思えないほど熱を持っているわよ」
「……」
熱、それを聞いて一夏は鬼一を思い出す。自分と同じISの初心者なのに、なんでこんなに違うのか。
自分を倒したセシリアを倒し、鈴をあと1歩のところまで追い詰めてみせた。勝敗を分けたのは外から見てた一夏にはほとんど分からない。だけど、鈴をあそこまで追い詰めれるビジョンは見えなかった。
そんなに勝つことが大切なのだろうか? どうして勝つことにあそこまで自分を差し出すことが出来るのか、それが一夏には分からなかった。
全力で戦うのは分かる。そして、全力でやってこそ意味が生まれる。その上で勝敗が出るのは当然のこと。
負けるのは嫌だけど、でも、全力でやったなら負けてもしょうがないと一夏は考えている。だけど、鬼一はそれを良しとしていないことを一夏は知った。鬼一は何が何でも負けないという強い意志を感じさせる。
そして、鈴はその意志についていき勝利した。鈴が誇っていたスタイルを曲げてでもだ。
鬼一と一夏の違いはただ一点。
『負けてはならない勝負や戦いを知っているか否か』である。それに尽きる。
鬼一は既にそれを体験しており、一夏はまだ体験していない。
「別に言葉にする必要はないわよ。胸の中にしまっておきなさい。それで、どうする?」
今まで背中を見せていた鈴は一夏に振り返る。その表情は一夏に問いかけている。一夏はこれからどんな道を歩くのか? と。
「何が、だ?」
一夏は鈴の問いかけに本当に分からなかったのかもしれない。だが、鈴ははぐらかされたようにも感じた。故に、方向性を変える。
「アンタがこれからISの練習をするって言うなら手伝うわよ。まだアリーナの使用時間はあるんだから教えれることがあるなら教えるわよ……甲龍は流石に出せな
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