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STARDUST唐eLAMEHAZE
第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#4
DETERMINATION 〜決意〜
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知られることはない。
それに “存在それ自体” を喰うから、喰われた人間は “いなかったこと” になる
後には痕跡すら残らないわ」
「誰にも見えねえし、解らねえ、か。その点じゃ 『幽波紋(スタンド)』 と殆ど変わらねえな」
 いきなりシャナが立ち止まった。
 目の前にタイヤキの売店がある。
 シャナは店員に言って、ホットプレートの上にある分を全部買った。
 袋に詰めてもらうのを待ちながら、世間話でもするように、軽く言う。
「でも、ただ食い散らかしていると、
急に存在の空白を開けられた世界に 「歪み」 が出る。
だから、 “全部は喰わずに” トーチを残して、空白が閉じる衝撃を和らげるのよ」
 シャナはタイヤキで一杯になった袋を受け取る。
「……さっきテメーがやってたアレか?
残された人間の「光」を使って、壊れた場所を修復してたな」 
「当たり前じゃない。薪がなければ火は燃えないでしょ。
元になる存在(チカラ)が無いと、物は直せない、人も治せない」
「…………そうだ、な……」
 少し考えた後、承太郎は学帽の鍔で目元を覆いながら静かに呟いた。
「……それだけ? おまえなら「直すのに人間を使うなんてフザけるな」
とか言うと思ったけど?」
 それに対する反論はもう出来ていたので、
シャナは肩透かしを喰ったような気分になる。 
 以前、ジョセフに喰われた「人」を「物」扱いするのは、
あまり好ましくないと静かに諭された事があるので、当然この男も
「トーチ」による「修復」には反発するだろうと想っていた。
「ソレしか “手” がねーんだろ? 
まさか街も人間もブッ壊れたまま放っとくわけにもいかねーしな。
なら何も言いようがねぇ。
一番悪ィのはあのバケモン共で、テメーが殺したわけじゃあねーからな」
 死んだ人間は、もうどんな「能力」を使おうと戻らねぇ、
そう小さく呟いて承太郎は再び押し黙った。
「フン、知った風な事を」
 なんだか擁護されたみたいで面白くないシャナは、わざと突き放すような言い方をした。
「あ、ちょうどいいわ。見なさい、おまえ」
 シャナが空いた方の手で指差した。
「今、正面から歩いてくるトーチ、もうおまえには視えるでしょ?」
 人込みに頼りない足取りで混じる、印象の薄い中年の男。
 背広姿のその胸の内に、小さな灯がある。
 それが、ふと、消えた。
 燃え落ちた。
 男もいつしか、消えていた。
 それがなんでもないことでもあるかのように。
 周りを歩く人々は誰も、そのことに気付かない。
 いや、気にしない。
 承太郎も、言われなければ注意を払わなかったかもしれない。
 それほどに、男の “存在感は薄かった”
「今のが、燃え尽きるって事か? 
もうさっきの男の事を覚えてる
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