第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#4
DETERMINATION 〜決意〜
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ラストールが “視えるように” してやれって……」
頬も触れあうような、その近さ。
シャナの視界の隅に、両耳を飾るピアスの煌めきが映る。
鼻にかかる、熱い火の香りと、仄かで柔らかな匂い。
その小さな口唇がすぼめられ、承太郎に細く息を吹きかける。
いきなり承太郎の全身が激しく燃え上がった。
「……ッッ!!」
思わず声を上げそうになるが、熱さを全く感じないので
その必要がない事に気付く。
火は、消えていた。
大事な制服には焼け焦げ一つ付いてない。
しかし、その事を確かめた後に眺めた風景に、
(……なん、だ?)
ぽつん、と点る小さな光が紅い空間、元の街の中そこかしこに点在していた。
まるで蛍の光のような、しかし今にも消え去りそうな弱々しい色彩の光。
(……人間? イヤ、喰われた生命の……「残り火」……か?)
直感以上の確信。
それを目の前の少女に訊く。
「オイ、一体ェ何しやがった? あっちこっちに妙な「光」が見えるぜ」
が、シャナはもう遠くの方に行っていた。
「さっきの見た? あの “燐子” ちゃっかり手下が集めた分、持ってっちゃった」
それにアラストールが、嘆息混じりに答える。
「うむ、抜け目のない奴だ……が、「アノ者」 が徒に
引けを取らぬ事が解っただけでもよしとすべきだろう。
「討滅」 自体はいつでもできる」
「……どうだか、ね。」
シャナは呟いて右の人指し指を天に向けて突き立てた。
周囲で光が弾け、承太郎は思わず身構える。
路面にまばらに散っていた、まるで人々の名残のようだった小さな灯りが、
ふ、と幻が湧くように、人の形を取り戻していた。
(無事だったのかッ!?)
一瞬、希望を抱いた承太郎はしかし、棒立ちの彼らの胸の中心に、
先程の今にも消えそうな弱々しい灯りが点っているのに気付いて愕然とする。
その灯りは、最初に怪物に人々が襲われた際、燃え上がった
炎と同じもののように思える。
(だが……さっきは「光」が身体全体を包んでいた。
しかし、今は “喰われた分” 減っちまったみてーだぜ……)
突然、承太郎の体を怖気が走り抜けた。
理由は解らないが、その「光」に得体の知れない邪悪な意志を感じ取った。
その存在。その概念に。
「 『トーチ』 はこれでよし、と。 「直す」のに何個か使うね」
「うむ……それにしても、相も変わらず派手に喰らいおるわ」
言う間に、幾人かが、再び一点に凝縮された。
瀕死の蛍のようになったその灯は宙を流れて、シャナの突き上げた指先に宿った。
瞬間、灯は一斉に弾け、無数の火の粉となった。
それらの火の粉は、この陽炎の壁に囲まれた空間の中に舞い散ってゆく。
怪物や自分によって壊
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