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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第8話『理に適った理不尽』
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その先頭に立つ先程の槍を携えた男が、ジークに向けて口を開く。
「すまんジーク、逃した」
「だろうな。ああクソっ、敵を見誤った……!対人戦なら確実にAはあるぞあの野郎……!」
脳裏に浮かべるのは金髪の魔公。修羅の如き力を振るうあの男は、一騎当千とも謳われる
対魔傭兵
(
かれら
)
数十人を相手に持ち堪えるどころか、圧倒して見せたのだ。
ジークをその拳の余波で吹き飛ばした男は、即座に周囲の『
対魔傭兵
(
リ・メイカー
)
』達の危険度を察し、最も危険となる者から叩き潰していった。ジークもまたそのうちの一人で、中にはジークの様には反応出来ず助からなかった者も居ただろう。ジークの記憶にある戦友達の顔が、幾つか欠けている。
「……ギールとワルズ、バグラは……死んだか」
槍を担いだ男が、ゆっくりと頷く。その腰には直剣に短剣、チャクラムが吊られており、そのどれにも血が付着していた。男に傷は無く、当然それはそれらの持ち主
だ
(
・
)
っ
(
・
)
た
(
・
)
者達の血だと理解する。
ジークに支えられつつもそれを見たスィーラが悲痛そうに顔を歪め、メイリアもまた唇を噛みながら肩を震わせた。
「……ここの墓地を使わせて貰おう。残ってたらで良い、死体を運んでやってくれ」
「了解」
数名の戦士達がすぐに跳んでいく。突如吹いた突風に瞬きをした次の瞬間には、その背はもう米粒の様に小さくなり、やがて完全にその姿は見えなくなった。ジークがそれを見届けると、足に力が入らなくなったスィーラをゆっくりと座らせる。懐から遠信機を取り出し、この街に居ない《彼女》へと繋げる。
中の魔石へと魔力を通し、遥か彼方に居るであろう存在の声が届いた。
『……ジークか。どうだった?』
冷めた声が届く。常人が聞けばすぐにでも肝が冷えるような、全てを知っているかの様な声音で、しかし果ての《彼女》はジークに問うた。ジークもまた声音を低くし、冷や汗を拭って答える。
「ヴァリアゾードの防衛は完了。B級の……いや、B+って所か。そのレベルの魔公が来てたけど、逃がした。すまない」
『ふむ、仕方あるまい。そちらに送った人員では、そのレベルはどうにもならんだろう。何人死んだ』
「三人、《神話の遺品》は全て回収した」
『よくやった。全てこちらに送れ、処理して再配給する』
「了解。任務を続行する」
簡素にして淡白な問いに答え、指示を受ける。遠信機を仕舞い、改めて辺りを見回した。傷一つ負っていないとはいえ衣服をボロボロにしたスィーラに上着を渡して背負い、奥で座り込んだメイリアに視線を向ける。
メイリアもまたその視線に気付いて立ち上がろうとし、足に力が入らない事に気づいて苦笑しながらジークを手招きする。ジークは促されるままメイリアに
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