第五話 ロートリンゲン家その十三
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「そうします」
「期待しています」
「それでは」
「時を待たれて下さい」
司教はそのマイラに言った。
「是非」
「わかりました」
「若し王、そして大公に何かあれば」
その時はというのだ。
「マイラ様がです」
「私がですね」
「この国の主になられます」
「必ずですね」
「それだけの後ろ盾を得ましたので」
ロートリンゲン家、そして法皇庁のだ。
「ご安心下さい」
「では」
「その時に備え」
司教はさらにだった、マイラに囁いた。今度はそうした。
「今は学問、そして」
「旧教の諸侯達をですね」
「お味方につけられることです」
そうせよというのだ。
「今は」
「新教の諸侯に圧されている彼等を」
「そうです、旧教こそが正しいのですから」
司教は確信していた、このことを彼の信念の中で。そしてマイラもまたその信念を共有していることをわかっている。
だからこそだ、今ここでこう言ったのである。
「彼等もです」
「味方にですね」
「おつけ下さい」
「そうすればですね」
「彼等はマイラ様の手足となります」
「それでは」
「異端審問の者達もです」
司教は彼等の名前も出した。
「味方に」
「旧教の全ての者達を」
「そうされて下さい」
「そうしていきます」
マイラは司教の言葉に強い顔で頷いた、そのうえで。
式に趣いた、そこにはこの国では想像も出来ないまでにみらびやかな服を着た一団を引き連れた若く整った顔の青年がいた。マイラはその彼を笑顔で迎え入れその手を取った。
第五話 完
2016・4・14
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