第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#3
RED ZONE 〜封絶〜
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巨大な両腕を胸の前で交差し防御態勢を執った。
実に単純な構えだが、明け透けすぎるが故に撃てる術がかなり限定される。
巨大過ぎる為、両腕を挟むとシャナの長刀でも異形内部に在る「本体」には届かない。
さらに距離が遠すぎて貫通力が分散されるため、
腕が串刺しになることを「覚悟」で受け止められれば
逆にこっちが捕まる事になる。
その事を認識した異形はその醜い瞳をニヤリと歪め、
巨大な口を耳元まで開いて炎を吐いた。
炎の、瀑布。
誇張でもなんでもなく、本当に路上の全てを覆い尽くすほどの量で
白い炎の濁流がシャナを呑み込もうと襲い掛かった。
シャナは瞬発力で路面に扇形の痕が付くほどの踏み切りを付け、
即座に左斜めに飛び去っていた。
その足痕は駆け抜けた炎の濁流によって蒸発する。
「!」
高速で空間を翔ける、フレイムヘイズの少女。
その視界の隅に、空条 承太郎の姿が眼に入った。
自分と同じように、スタンドで高速移動したビルの路地裏にて
優雅に煙草と洒落込んでいる。
先刻アラストールに言った通り、高みの見物を決め込むという事なのだろう。
だが、その戦闘中に不謹慎な、或いは余裕に満ちた態度に
自分で言い出した事とはいえシャナは何故か無性に「カチンッ」ときた。
少女がそう想う間にも異形は再び、シャナの飛び去った方向に向けて
白炎の大放射の狙いを定める。
しかし、異形の炎が吐き出される前に、シャナは前方のビルの窓枠を
蹴りつけ更に真上へと上昇した。
「!!」
そして異形が眼で追う暇もなく、今度は換気用のダクトを蹴りつけて
獲物を狩る鷹のように前方左斜めに急降下してくる。
着地はせずそのままガードレールが変形するほど強く蹴っとばし、
再びシャナは高速で宙に舞い上がった。
同じ要領でドラッグストアの看板を、BARのネオンを、曲線を描く街灯を、
花屋の庇を、赤い郵便ポストを、およそ視界に存在するありとあらゆるものを全て
「足場」にして、高速でジグザグに飛翔しながら、幻惑すると同時に
異形との距離を詰めていく。
異形が何度か当てずっぽうで炎を吐いたが、無論命中するわけもなく
承太郎にそこへ吸い殻を弾いて捨てられる始末だった。
あっというまにゼロの距離に達し、ワンボックスカーほどもある
異形の足下にシャナは犀利な八字立ちで空間を斬り裂くように着地した。
高速移動で巻き起こった気流に、膝下まである炎髪が舞い上がり
まるで吹雪のように火の粉を撒く。
「……」
だが、射程距離に入ってもシャナはそこですぐ攻撃を仕掛けず、
また残像を残して左斜めに飛び去った。
そして今度は、異形の目の前で先程と同じ動作が繰り返される。
「立体」ではなく「平面」で。
し
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