第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#3
RED ZONE 〜封絶〜
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「テメーに指図される筋合いはねぇ」
「うるさいうるさいうるさい! おまえに選択権はないわ!」
「やめよ。戦いの最中だ」
シャナの胸元でアラストールが、重く低い声で言った。
「空条 承太郎。貴様の心の内はだいたい想像がつく。
『燐子』が人の存在を喰らう所を “見た” のだな?
…………が、とりあえずここは引け。歳長であるならそれが「筋」だ 」
「……」
穏やかな、声だった。
ささくれ立った神経が宥められるような。
そのアラストールの言葉に承太郎は「フッ」と小さく鼻を鳴らす。
「……ジジイ? アラストールとか言ったな?
確かテメーには「借り」があった。いいだろう。
そのガキのお手並み、拝見といかせてもらうぜ」
「うむ」
「……」
「ジジイ」という言葉が侮辱と受け取れたが、
アラストールが何も言わない以上自分も何も言う事が出来なかった。
しかし、何か面白くない。
先刻 『幽波紋』 の名付け親になった事といい、
盟友であるジョセフの「孫」というのもあっての事なのか、
どうやらアラストールはこの 『ジョータロー』 とかいう
(実に) いけ好かない男を随分と買っているようだ。
それがまた、無性に面白くない。
「……来るぞッ」
そのシャナの葛藤は、尊厳なるアラストールの声で中断を余儀なくされた。
【5】
ズァッッッッギャアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッ!!!!!!!
いきなり、今まで自分の立っていた道路が裂けた。
砕けたコンクリートの飛沫と、吹き飛ばされた土砂が暴風のように自分に襲い掛かる。
路面に、無数の剣と槍が突き立っていた。
異形が指先に埋め込まれた武器を、
こちらを目掛けてミサイルのように飛ばしてきたのだ。
「フッ……!」
瞬時にサイドステップで左方向に飛び去って廻り込んでいたシャナは左手を一振り、
黒衣の裾を捺し広げて伸ばし自らを守る「盾」とした。
その表面に突き当たったコンクリートの飛沫は、
触れるそばから次々に燃え上がり裏には一点のへこみもつけられない。
「……」
シャナ同様、ズボンのポケットに両手を突っ込んだまま
スタンドのバックステップで「武器」着弾前に大きく後方へと飛び去っていた承太郎は、
端から防御など選択肢にいれず襲い掛かる瓦礫の障害物を
全てスタープラチナの両拳乱打で跡形もなく粉砕した。
着地と同時にシャナのコートの裾がフワリと舞い、一瞬その全身を覆い隠す。
彼女はその間に左手を柄に戻し、柄頭を左脇の奥に引き込んでいた。
右肩をやや前に突き出す、刺突の構え。
だが、シャナが首玉が取り込まれた左胸の部分に突貫するより前に、
異形は軋んだ音を立てながら
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