第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#3
RED ZONE 〜封絶〜
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、承太郎は苦々しく吐き捨てる。
「ジョセフの事悪く言うなッ! それに「本体」なんかどこ探したっているわけない、
第一アレはおまえが考えてるような『幽波紋』じゃない!」
何が気に障ったのか、真っ赤になって叫ぶ少女に対し承太郎は剣呑な瞳で問い返す。
「なんだと? おいクソガキ? そいつァ一体どういうことだ?」
「クッ!?………………おまえッッ!! 言うに事欠いてなんて事いうのよ!!」
シャナはその髪と瞳に加え顔まで真っ赤になって毒づいた。
今まで「敵」に、その容姿の事で皮肉めいた事を言われた事は何度かあるが
こんな風に直接的な言葉で詰られたのは初めてだ。
「ン?」
承太郎は目の前で喚くシャナの怒声よりも、遠くの首玉の妙な動きが気になった。
戦いの熱に浮かされて不覚にも目標から随分離れてしまったらしい。
首玉は振動するように身体を揺すぶらせたと思うと、
自身の張力でいきなり道路からバウンドして大きく後方に跳ねた。
そのままピタリと空中へ固定されたように停止し、
そして例の如く埋め込まれたマネキン達が叫声を響かせる。
しかし今度はバラバラではなく、一部の狂いもなくマネキン全てが一斉に鳴いた。
そし、て。
周囲のビルのガラスが振動するような、奇怪なその叫声に煽られるかのように
バラバラになって路上に散乱していたスクラップとジャンクの山が
カタカタと音を立てて蠢いた。
然る後、分解された夥しい数の機械部品、その中で比較的損傷の少ないモノが
空中に浮かんだ首玉に向かって次々に集まっていく、
ソレが首玉の表面に付着して瞬く間に周囲を覆っていった。
まるで悪趣味なジグソーパズルのように、
在るべき場所にそれぞれ組み込まれみるみるうちにそのサイズを膨張、
人の形を成していく。
最終的に生まれたモノは、一体の「人形」
しかしその大きさは規格外で横の五階建ての雑居ビルを上回った。
ゾンビのような剥き出しの機械部品がそのおぞましさ増長させ、
本来爪が在る指先に武器であった剣や槍が埋め込まれ鈍く光っている。
最早「人形」とは呼べない、完全な【異形】だった。
「……やれやれだぜ。数でも勝てねぇと知ったら今度はデカくなる、か……
芸のねぇヤローだ。しかし、あんだけデカイとブッ壊し甲斐がありそうだぜ」
“アレをブチ壊せば、かなりスッキリ出来そうだ”
再び闘争心に誘発された笑みを口元に浮かべ前に歩み出る承太郎を、
シャナの小さな腕が鋭く制した。
「アレは私の 『獲物』 おまえは引っ込んでて」
そう言って焼き付くような視線を承太郎に向けてくる。
「知ったこっちゃあねーな。あの悪趣味なマネキンには用がある」
「それこそ知ったこっちゃあないわ。フザけた事言わないで」
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