第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#3
RED ZONE 〜封絶〜
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、
承太郎は不良特有の威圧するような視線で睨めつけた。
「ッッッッッぅぎゃああああああああああ―――――――――ッッ!!」
絶叫と共に再び開いた人形の口の中から、バネやゼンマイなどの
クラシックな機械部品が薄白い火花と一緒に吐き出された。
「痛み」を感じるかどうかはしらないが、ともあれ緩んだ巨腕の拘束から
自由になった承太郎は、燃え盛るアスファルトの上に手を付いて着地する。
だが、不思議と熱さは感じなかった。
人形はその土管のような膝を直角に折り曲げて前のめりに倒れる。
ズゥン! と、ダンプが横転したような重低音が白炎空間に鳴り響いた。
砕けた顎をおさえ、道路の上で転がり回る人形の頭を
承太郎はガンッ! と革靴の踵で強烈に踏みつける。
「おい? テメーの 『本体』 は一体ェどこだ? どっかで操ってるヤツがいるはずだ」
「うあぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁ! 僕の顔があああ!!
よくも、よくも、よくもををを―――――――――ッッ!!」
まるで話が噛み合わない。
舌打ちと共に苛立った承太郎は頭に乗せた靴の先端を捻り込むように力を込めた。
「ぎゃあああああああ!! 痛い! 痛い! 痛いぃぃぃぃぃ!!」
巨大な外見とは裏腹に、あがる悲鳴は幼い子供の声。
その事に、承太郎の力が意図せず緩む。
それを敏感に感じ取ったのか、いきなり人形が立ち上がった。
「チッ……!」
短い舌打ちと共に、反射的に出たバックステップで承太郎は背後に飛び去る。
だが、その肩を、いきなり「伸びてきた」人形の両腕が掴んだ。
「アハハハハハァァァァァ!! バ――――カッッ!! 死んじゃえぇぇぇぇぇッッ!!」
己の頭上から見上げる形で人形の顔があった。
愛くるしかった顔面は半壊しているので、最早見た目的にも完全なモンスターだ。
やがて軋んだ音を立てて開いた口の中から燃え盛る薄白い炎が顔を出す。
その色彩が、先刻の人形の「行為」を否応なく呼び起こした。
(……こいつはさっき、オレの目の前で“動けなくなった人間を燃やして喰った”)
一際高鳴る、裡なる鼓動。
(“喰いやがった”ッッ!!)
認識した事実に慈悲の心は跡形もなく消し飛んだ。
頭蓋の奥で正気を司るコードが数十本まとめて千切れ飛び、
淡い色彩の碧眼に怒りの炎が燃え上がる。
熱く。激しく。燃え尽きるほどに。
ガッッッジュウウウウウウウゥゥゥッッッッ!!!!
まるで大型火炎放射器のような射出音と共に、
吐き出された白い炎の洪水が掴んだ人形の手ごと承太郎を呑み込んだ。
「アァァァァハハハハハハハハハハハハ!! ざまぁ―みろ!!
キャハハハハハハハハハハハッッッッ!!!!」
炎に呑み込まれた人間の姿に、
人形は
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