五十八話:意地
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「鋼の軛!」
「今度はザフィーラの魔法か…!」
地面からの幾多もの拘束錠が切嗣に襲い来る。それは本家のザフィーラと比べれば数段の格落ちであるが戒めの鎖との合わせ技であれば頑強なる軛となる。如何に速く動けようとも動くことそのものができないのであれば何をすることもできない。
「騎士達の技をここまで……」
「私のはみんなの真似事。十年かけてみんなから学んだけど足元にも及ばん。でも、籠められた想いだけは本物や」
今度はレヴァンティンを弓に変え矢を番えながらはやては拘束した切嗣の方を見る。対する切嗣は何とか抜け出そうともがくがそう簡単には逃げられない。
「私は夜天の王。真似事でも守護騎士達を従えとるのには変わらん。やからこれは私達家族全員の想いや―――ちーと痛いけど我慢してーや」
弦を引き絞り冷たい声で宣言する。本家本元のシュトゥルムファルケンには及ばないがそれでもはやての馬鹿げた魔力の副産物が生み出す威力は凄まじい。そんなものをまともに食らえば幾ら回復できても意識を保てるとは思えない。逃げる以外に道はないが、逃げ道はない。その事実に切嗣も腹を括った。
「Sturmfalken!」
一条の流星が如き矢が放たれ―――大爆発を巻き起こす。
「これで少しは凝りたらええんやけどなぁ」
爆風と炎に紛れて地に落ちていくコンテンダーを眺めながらはやては呟く。今の一撃は間違いなく直撃した。少なくともあれを受けて平然とした顔で出てきそうな人間をはやては知らない。何より相手は武器を手放した。そう―――慢心していた。
『Penetration shot』
突如として右肩に鋭い痛みが走り、続いて鼓膜に微かな銃声が届く。気づいた時には既に遅かった。撃ち抜かれた肩から噴き出る血に二人して意識を奪われてしまう。
「はやてちゃん!?」
「手当は後や、リイン! 私の甲冑を!」
「Panzergeist.」
しかしながら、攻撃の手が収まるわけもない。容赦のない弾丸の雨が続けざまに襲い掛かってくるのを体に魔力の甲冑纏いを何とか受け流していく。そして、どういうわけかまだ意識を保っている敵を見る。
「……なんや、日焼けでもしたんか?」
「全身に叩き付けられる魔力を逆に全身から魔力を放出することで防いだんだよ。……もっとも、そのせいで後遺症は残ったけどね」
まるで焼けたかのように顔の半分が浅黒い肌になっている切嗣に余裕があるようにはやてが問いかける。それに対して切嗣も余裕があるように返事をするが実際のところは息を吸うだけで体に激痛が走っているような状態だ。
彼がや
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