第181話 劉弁と正宗 前編
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んでしょうか? 劉正礼、伏してお願い申し上げます」
正宗は平伏し頭を地面につけて劉弁に頼み込んだ。その姿に百官達は驚愕し沈黙した。劉弁自身驚いている様子だった。彼は正宗と面識はない。しかし、先帝・劉宏の信任が厚かったことは伝え聞いていたからか直ぐに平静さを取り戻していた。
「車騎将軍、自ら褒美を求められるつもりか? 何たる不遜」
劉弘は場の空気を読まず正宗の行動を避難した。しかし、彼の言動に百官達の目は冷たかった。
「そう取られようと構いません。皇帝陛下、一度失われた命は二度と生き返ることはございません。無礼を承知で申し上げさせていただきます」
正宗は必死に頭を地面につけて皇帝陛下に嘆願した。
「皇帝陛下に判断に指図するとは何たる無礼者!」
劉弘を見る百官達の目は更に冷たくなった。
「劉弘、黙っていろ!」
温厚な劉弁が劉弘を強い口調で怒鳴りつけた。劉弘は劉弁の剣幕に沈黙した。
「劉車騎将軍、面を上げよ」
劉弁は正宗に顔を上げるように命令した。正宗は伏したままだった。
「劉景升殿の助命をお聞き届けいただけるまで顔を上げることはできません」
「何故そこまでする?」
「劉g殿と約束いたしました。私は劉g殿の心に打たれました。辛き目に合いながらも母を想う孝の心に。この者の願いを聞きどけれずして皇帝陛下の臣下と言えましょうか。どうぞお聞き届けください。此度の戦功で足らぬというなら王爵を、それでも足らぬなら私の官職を召し上げください」
周囲の百官達は正宗の嘆願に心を打たれたようだった。王允と荀爽も同様の様子だった。劉表は正宗に先程までこき下ろされていたが、今は正宗への感謝で一杯なのか涙を拭っていた。対して劉弘は他の百官達か白い目を向けられる空間にいたたまれない様子だった。賈?は苦虫を噛みつぶしたような表情で両拳を強く握りしめていた。彼女の隣にいる張遼は驚きに口を開いて、正宗に好感を持ち眺めていた。
「皇帝陛下、劉景升殿の助命をお願いいたします!」
「皇帝陛下、劉景升殿の助命をお願いいたします!」
「皇帝陛下、劉景升殿の助命をお願いいたします!」
次から次へと百官達が劉表の助命を願いでた。それに王允と荀爽も加わった。劉表が謀反に加わっていない以上、問われるべきは管理者責任である。全ての官職は更迭されるのは当然だが、死罪にすべきかは皇帝の胸先三寸と言えた。劉弁は正宗の話より、正宗自身の態度に心を打たれているようだった。弱者のために全てをなげうってでも救おうという姿勢に。
「劉車騎将軍、劉景升の助命聞き届けよう。しかし、王爵と官職の返上は無用だ。先帝がお前を見込み授けたものを私が浅慮で奪うなどあってはならない。お前は漢室にとって唯一無二の藩?である。お前を失
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