第181話 劉弁と正宗 前編
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に謀反を計画する痴れ者などいるわけがありません!」と顔を真っ赤にして否定した。
「劉車騎将軍、劉司空。時間の無駄だ。劉車騎将軍、お前は劉景升が無実と証明する足ると信じているのだな。ならば、それを教えよ」
正宗は劉弁に頭を下げた。劉弘も黙る以外に無くなった。
「蔡徳珪討伐後、私は生き残った蔡一族の処断を行っておりました。ある時、逃亡を図っていた劉jとその父が捕らえられ、私の元に連行されました。両名は蔡一族の血筋とはいえ劉景升殿の近しい縁者。ですが、逆賊は逆賊。私は両名を処刑すべきと考えておりましたが、敢えて劉景升殿の息女・劉g殿に意見を求めました」
「何故そのような真似をしたのだ?」
劉弁は正宗に問いただした。
「劉g殿が蔡一族に通謀していないことを確認したかったのです」
「劉g殿は義父と義妹が贖罪するには死罪以外にないと私に申しました。その時、彼女の凜々しき姿は目に焼き付いております。流石は劉景升殿のご息女と感服いたしました。このような娘の実母である劉景升殿が私の命を狙うことに荷担したとは到底思えませんでした。対して、劉jは酷い有様でございました。義理の姉とは申せ、自信の罪を糾弾する姉を口汚なく罵り、横柄な態度で私を恫喝いたしました。朝廷の権威に対する敬意を微塵も感じさせない。蔡一族が如何に驕り高ぶり朝廷を蔑ろにしていたかが分かります」
正宗は当時のことを回想しながら喋り出した。劉表は正宗の告白に顔色を変えていた。劉jと彼女の夫の処断に劉gが関わっていることを知ったからだろう。そして、正宗の発言は劉表が蔡一族を制御できていなかったと断じているに等しかったからだ。
「劉車騎将軍、呆れてものが言えませんな。貴公の話は劉景升殿の無実を証明する証拠ではなく、あなたの主観で語っているにすぎませんか! だいたい、そのような不埒者を放置した劉景升殿の罪は重いのではございませんか?」
沈黙していた劉弘は正宗の話に口を挟んできた。
「仰る通りです。劉景升殿の罪は重い。しかし、朝廷を軽んずる蔡一族が劉景升殿を敬うであろうか? それに、朝廷への忠義の厚い劉g殿を罪人に貶めるは惜しい。劉g殿と劉jの違いは父の違いと言えましょう。劉g殿は劉景升殿の前夫との忘れ形見。対して劉jは謀反人・蔡徳珪の兄。私は劉景升殿に同情します」
正宗は暗に劉表が朝廷を軽んずる蔡一族の暴走に巻き込まれた被害者と言っていた。そして、劉表を処罰すれば、朝廷への忠義を示す劉gを連座させることになることを匂わした。
「それに、劉g殿は義妹と継父に毒を盛られていたにも関わらず、劉景升殿を恨むどころか洛陽に召還された、彼女のことを心配しておりました。皇帝陛下、お願いがございます。こたびの私への褒美として劉景升殿の助命をお聞き届けくださいませ
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