第181話 劉弁と正宗 前編
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いるのでしょう?」
「分かりません。しかし、態々劉景升殿の接触しようということは荊州の件でしょうな」
「荊州。真逆、荊州牧の人事に干渉しようというのでしょうか? 幾ら劉司空とはいえ、劉景升殿を荊州牧として復職させることは無理と思いますぞ」
王允は正宗の読みをありえないことと否定した。
「そうとは限らないでしょう。私が劉景升殿を救うつもりあると分かっているはず。それを邪魔し、何かの利益を得ようとしているのかもしれません。せいぜい私の面子を潰すことくらしかできないでしょう」
「そういえば。賈文和は蔡瑁討伐の勅が発せられた時、子飼いの呂羽林中郎将を派遣するべきと強弁しておりました」
王允は忌々しそう表情で当時のことを思い出しながら言った。蔡瑁討伐の将軍に呂布を選ぼうとしていたことに正宗は表情を変えた。
「当然のことながら皇帝陛下も百官も聞く耳を持ちませんでした」
「賢明な判断でしたな」
呂布が荊州に下向すれば難なく蔡瑁を誅殺したはずだ。そうなれば正宗の目論見が根底から覆る所だった。それを理解したのか正宗の表情は神妙だった。
「賈文和め。またよからぬことを考えているやもしれませんな。劉景升殿に助けを拒否すれば身の安全を保証できないなどと脅迫するとは何たる恐ろしい女なのじゃ」
王允は自らの身体を両腕で抱きしめながら恐れを感じながら愚痴を口にした。
「車騎将軍、早急にあの涼州の蛮人どもをどうにかしてくだされ」
「そう急ぐことはありますまい。まずは董少府と話をし歩み寄れる妥協点を探るべきと思います。実力行使はその後でも遅くない」
「車騎将軍はおわかりではないのです。奴らの野蛮さは酷すぎるのです。拘束すべき者達も詮議を経ずに斬り殺すような荒っぽい奴らなのです」
王允は顔を青くしながら正宗に説明した。
「王司徒、わかりました。できるだけ早急に対応しましょう」
正宗は急く王允に協調する素振りを見せ、王允を落ち着かせた。王允は正宗の反応に少し落ち着いたのか「お頼み申しますぞ」と正宗に念押しした。それに正宗は頷いて返した。
翌日、正宗は朝議の場に参上した。既に百官は朝議の場に集まり、各々の指定席に着座していた。皇帝陛下は最奥の一際高い場所に配置された玉座に腰をかけ正宗のことを見下ろしていた。
正宗はゆっくりと進んでいくと、彼の視線の中に賈?と張遼が入った。賈?は悪い目つきで正宗のことを見ていたが、張遼が賈?のことをたしなめていた。荀爽、王允は正宗の視線に気づくと彼に黙礼をした。
正宗は拘束された劉表の隣に来ると片膝を着き頭を下げ拱手した。
「劉正礼にございます。皇帝陛下におかれましてはご健勝のことお慶び申し上げます」
正宗が劉弁に対して挨拶すると空気は一瞬
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