第181話 劉弁と正宗 前編
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いなかったのだろう。正宗は劉表の脇の甘さに哀れみを感じていたが、それを顔に出すことはなかった。
正宗が劉表に劉gの一件を説明すると、劉表は身体を震わせながら俯いていた。
「それは真なのですか?」
劉表の顔は狼狽し疲労した顔で正宗に聞いた。
「嘘をついて何とします。貴殿が解放された後で娘から直に聞けばいいでしょう」
正宗の淀みない返答に劉表は脱力し地面にうずくまった。そして、むせび泣く声が正宗と王允に聞こえた。王允は正宗の側で話を聞いていたが劉表のことを同情しているようだった。
「劉景升殿、全て話してくださいますね」
正宗は優しい表情を浮かべ劉表を見た。彼の様子に劉表は少し落ち着いた様子だった。
「董少府は助命できるように力を貸したいと申し出てきました」
「助命ですか。それで終わりではないでしょう」
正宗は劉表に先を続けるように目で促した。
「董少府は劉司空を抱き込んだと言っていました。それと私が申し出を拒否すれば私の身の安全は保証できないと言っていました」
劉表は正宗に気まずそうに言った。
「返事をされたのですか?」
「しておりません! 時間が欲しいと言いました。そう言ったら夜にもう一度来ると言っておりました」
劉表は必死に弁明した。
「信じてよいのですね?」
「誓って嘘は申しません」
劉表は牢を塞ぐ格子を両手で掴み正宗に必死に訴えた。彼女としてはここで正宗に見捨てられては堪らないからだろう。
「劉司空」
正宗は王允に視線を送ると、王允は深く頷いた。
「王司徒、劉司空はどのような人物なのです」
「荊州南陽郡の出身です。遠縁ですが皇族の血筋は入っております。仕事ぶりは可も不可もありません。ただ、少し虚栄心が強く奢侈にかぶれております」
「あまり評判の良い人物ではないようですね。劉司空がどうように動くか知りませんが、私の奥の手をどうこうできる訳がありません」
正宗は自身有り気に意味深な笑みを浮かべた。その様子を劉表と王允は見ていた。
「劉景升殿、私の家臣をここに護衛として残します。泉、劉景升殿の護衛を頼む」
「正宗様、畏まりました」
泉は正宗に対し拱手した。
「泉、済まんな」
「いいえ」
「劉景升殿、そういうことです。今夜は安心して過ごしてください」
「車騎将軍、お気遣い感謝いたします!」
正宗は劉表の礼を受けると王允とともに牢屋を出て言った。
「車騎将軍」
牢屋を出てしばらくすると王允が声をかけてきた。彼女は周囲を窺うように正宗に声を掛けてきた。
「王司徒、如何されました?」
正宗も声を抑えたが歩くのは止めなかった。
「董少府は何を企んで
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