第181話 劉弁と正宗 前編
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とを調べ沈黙した。劉弘は天気が悪いと董卓に難癖をつけられ司空の地位を奪われた人物だった。この世界ではどういう人物であるか分からないが金で買収される位なら小物なのだろう。
「劉氏でありながら金で買収されたというのか! 何たる恥知らずだ」
正宗は頭に来て口調が荒くなった。
「劉車騎将軍の怒りはご尤もです。私も忸怩たる思いなのです。そういうわけで明日の朝議に賈文和は出てきます。必ず邪魔をしてくるでしょう。ただ、気になることがあるのです。つい最近、劉景升がいる牢屋に張中郎将が足を運んでいました」
正宗は王允の話に表情を険しくなった。董卓陣営が劉表に接触した理由が気になった。
「劉景升殿に会わせてもらえないでしょうか?」
正宗は神妙な表情で王允に頼んだ。王允は正宗に深く頷いた。
正宗は泉を伴い、王允に案内で劉表は入っている牢屋に足を運んだ。そこは薄暗い澱んだ空気が充満していた。正宗はゆっくりとした足取りで王允の後を追った。王允はある牢屋の目の前で足を止め、正宗の方を向いた。正宗は牢屋に近づき中を窺った。そこにはボロを纏った劉表だった。あまりの姿に正宗は驚いた。
「劉景升殿!」
正宗が劉表に呼びかけると彼女は顔を上げ正宗を見た。彼女は正宗の姿を捉えると牢屋の側まで覚束ない足取りで近寄ってきた。
「車騎将軍でございますか?」
劉表は牢屋に駆け寄り涙を流しながら正宗に声をかけた。
「はい。劉正礼です。荊州を鎮撫し漸く上洛を果たせました」
正宗の言葉を聞き、劉表は表情を一瞬暗くする。蔡一族が根絶やしにされたと察したのだろう。
「車騎将軍、私は何も知らなかったです。蔡徳珪が勝手にやったこと。どうか。皇帝陛下にお取りなしください」
劉表は必死の形相で正宗に嘆願した。
「そのつもりです。ですが、その前に聞かせていただきたいことがあります。劉景升殿は董少府配下の張中郎将と会われたと聞きました」
正宗は会話が終わる頃には鋭い視線を劉表に向けていた。返答内容次第では彼は彼女を救わない。劉表は慌てた様子で正宗に言った。
「あの女が勝手にやってきたのです。私にどうしろというのですか? 牢屋に囚われどうすることもできないです」
劉表はヒステリック気味な声を上げ正宗に抗弁した。
「劉景升殿、張中郎将の話をお聞かせ願えますね? 私は貴殿とは良好な関係を築きたいと考えています。そのために蔡一族に毒を盛られ病魔に冒されていた劉g殿を態々救ったのです」
正宗の話に劉表の表情が強張った。彼女は「何の話をしている?」と呆けた表情だった。彼女は自分の娘が毒殺されかけたとは夢にも思っていないようだった。その実行犯が自分の継室の実家である蔡一族であるなど考えて
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