第十六話 神戸を後にしてその十
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「こうしたことはあるのよ」
「僕だけじゃなくて」
「他の人もね」
「そうした人がいたってことを知ったら」
「これまで以上に落ち着いたわ」
「そうなんだね」
「だからね」
ここまで話してだ、優子は優花にあらためて言った。
「優花もね」
「どうして僕だけとかだね」
「思わなくていいのよ」
「まだ思っていたら」
「そう、そう考えなくていいのよ」
そうだというのだ。
「いいわね」
「わかったよ、実はね」
「そう思っていたのね」
「うん、まだね」
そう思っていたとだ、優花は姉に話した。
「そう思ってたよ」
「それじゃあね」
「うん、そう思う気持ちをね」
「なくしていって」
「女の子になるよ」
「そうなってね、じゃあもうすぐ」
「うん、長崎に行って来るね」
微笑んでだ、優花は言った。
「こうしたことは僕だけじゃないし、それに」
「それに?」
「今思ったんだ、若し僕だけのことでも」
それでもというのだ、優花は優子との今の会話の中で一つの答えに至りそれをその姉に話すのだった。
「それでもね」
「受け入れてなのね」
「僕だけがとか思わないで」
そしてというのだ。
「腐らないでやっていくよ」
「そうするのね」
「ええ、そうしていくわ」
微笑んでだ、そしてだった。
優花はこの日も神戸を去り長崎に向かう用意をした、そうして。
遂に八条学園高等部最後の投稿日になった、優花はこの日龍馬と共に登校しながら彼に穏やかな顔と声で話した。
「もう出来たから」
「あっちに行く用意がか」
「うん、出来たから」
こう話すのだった。
「だからね」
「今日経つのか?」
「いや、明日なんだ」
微笑んでだ、自分の隣にいる龍馬に話した。
「明日の朝早くにね」
「そうか、明日か」
「今日は姉さんとお別れじゃないけれど」
永遠のだ、それではないがというのだ。
「暫くの間別々に住むから」
「だからか」
「そう、お別れのね」
それをというのだ。
「パーティーをするんだ」
「そうか、じゃあな」
「うん、今日は朝皆にお別れの挨拶をして」
「部活の方はどうなったんだ?」
「もう昨日のうちに挨拶したよ」
「そうか、じゃあ今からか」
「うん、登校してね」
そしてというのだ。
「クラスの皆にもね」
「そうするんだな」
「じゃあ暫くね」
「俺達もお別れだな」
「うん、それでね」
ここでだ、優花は龍馬にこうも言った。
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