18話 鈴戦
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鈴の胸部に夜叉が打ち込まれた。絶対防御が発動し甲龍のエネルギーが減少。しかし、決着がつくほどの減少ではない。
だが操縦者に与えるダメージは決して無視出来るものではない。狙いはここにあったのだ。
自分の身を持って、ISの操縦に影響を与えるレベルのダメージがどれほどのものか理解している。今の一撃は間違いなく鈴ほどの操縦者でも無視できるものではない。
現に鈴は崩れた体勢を立て直すことが出来ないのがその証明だろう。
最後のワンチャンス。
鬼一の身体が悲鳴を上げているのか鼻から血が溢れる。明らかに異常だ。
視界が点滅。
もはや限界。
それでも限界を超えて、勝利を目指して手を伸ばす。
鬼一の連撃が遅くなっていく。どれだけ精神が肉体を凌駕しようとも、人間の肉体が耐えれる範囲というのは決まっているのだ。
鈴は鬼一の連撃を必死に耐え抜く。
そこに鈴の意志がない。ただ凌がねば敗北するのは自分なのだから当然だろう。
甲龍に3度目の絶対防御が発動。シールドエネルギー残量は100以下。
―――あと、少し……っ! ……え?
ガクン、と崩れ落ちる身体。身体が脳からの命令を受け付けない。
鬼火の制御で叩きつけられることだけは避けたが、地面に落下。
鈴も、一夏も、観客席にいた生徒全員が呆気に取られて見ることしか出来ない。既にセシリアの姿は無かった。
身体が痙攣してそこから動くことができない。それだけ鬼一は理解した。してしまった。
―――……動けよ。
声に出したつもりだったが、声にすらならない。
震える指先で地面を掴もうとした。しかし、そんな力もない。ただ力なく地面を削るだけだ。
点滅していた視界だったが、点滅の間隔が徐々に長くなり最後には視界は黒で染まる。
―――……まだ……オレは、終わって……。
無情な、エネルギー切れを知らせる機械音が耳に届いて、鬼一はその場から動かなくなった。
月夜 鬼一の敗北。
それがこの戦いを終末。
そして、最後の最後まで1つの表示に気づくことはなく、その表示は静かに姿を消した。
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