18話 鈴戦
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けたせいで余計な情報が流れ込んだ。
そして、鬼の心に業火が宿る。
敗北に到着するまでのロスタイムに突入。
首元に死神の鎌が添えられている。だが、それは相手も同じこと。自身が追い詰められている理由はわかりきっている。だけど、今の自分では対策が出来ない。
究極的には負けても構わない。だが、それを試す前から逃げ出すのも諦めるのも愚かだと断じる。
意識が繋がる。ショートしかねないほどの電流が身体の芯に伝わった。
流れ込んでくる莫大な情報量。そしてそれに伴い対策が引き出される。他の鬼一の力を行使する。上位に位置する自分ならそれくらいのことは可能だ。
少女の背中はもっと大きかった。自分はそれを見ていた。
自分と違って逃げ出すことをせず、自分ひとりで弱音を押し殺して最後まで戦うことを選んだ少女の強さを知っている。
心に宿った業火が鬼神にも伝播する。
エラー表示が一つずる削除され、今の鬼一に合わせて最適化される。
そして心の中で力強く笑う。
導き出した答えを実行するために肉体が稼働する。
だが、それは極限を凌駕する行いだ。
本来の自分ではなく、他の自分が使っている力を無理やり使用しているのだ。そんなことをすれば、自身に返ってくるフィードバックは尋常なものではない。
果たしてこの時の鬼一は気づいていただろうか? 鬼神からシステムに関する警告が表示されていたことに。
System-Infinite Stratos-Drive Standby
モニターに小さく、赤く点滅しているその機能に気づかない。既に全神経が目の前の敵に向けられている以上は、それに気づくことはない。
勝負だ中国の幼き龍よ。
世界の頂点に1度はたどり着いた鬼の意地を。
これよりは命知らずの蛮勇をとくとご堪能頂きたい。
歯車が噛み合い、目にも止まらぬ速さで回転し始める。
「ああああああああああああああああっ!」
残りの力を乗せて咆哮。
鬼一が集めた情報から鈴の意識が1番薄い箇所を割り出す。そして、鬼の持つ先読みで鈴の行動を先回りし、潰した。
「―――っ」
鈴の息が止まる。
比喩でもなんでもなく夜叉の軌道が見えなかった。
どれだけ警戒していても人間の意識には必ず穴がある。それをISのハイパーセンサーが補うことで穴を無くし、人間の意識を強化するのだ。
だが所詮ISは人間の生み出したもの、そして、ISを使うのも人間だ。不完全なものが2つ並んだところで不完全でしかない。
ならば、それを突破するのが不完全な人間であるのも当然だろう。
僅かな綻びを見つけ出し、その穴が失う前に、鬼は手を捩じ込む。そして広げる。
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