18話 鈴戦
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込んでいるのだ。それでもなお届くか微妙。相手がトップギアに入った瞬間に決着はつきかねない。
―――こいつ、オレの限界よりもまだ先に限界がある!
今の攻防で互いの限界点が見えてしまった。
才能、という一点だけであれば鬼一に軍配が上がるだろう。だが総合力では鈴に届くことはできない。
ISに対する理解度、熟練度。身体能力、技量差。
今の鬼一の限界まで才能を行使したところで、ようやく真っ向勝負が出来るレベルなのだ。そこから分かる結論はただ一つ。
即ち、極限状態の鳳 鈴音に何をしたところでどのように戦ってもねじ伏せられる。
―――上等。それならそこに踏み込む前に……!
月夜 鬼一の才能に際限は存在しない。望もうと思えば織斑 千冬でさえも追いすがることさえ出来ない力を振るうことが出来る。だがそれは出来ない。
肉体がそれに追いつくことができないのだ。
どうあがいても鬼一の肉体は凡人のそれ。どれだけ努力しようが、どれだけ足掻こうが打ち止めは存在する。となれば必然的に、その暴力的な才能を引き出すためには制限が常につきまとう。
だが、そんなこと関係ない。
力に制限がある? 限度がある? そんなことはどうだっていい。
重要なのは今、手持ちのカードでどうやって目の前の勝利に手をかけることがどうかその1点のみ。他のことは些細なこと。
限界値に到達し、もう1歩踏み出せばあの世への片道切符を購入しかねないギリギリのラインで鬼は糸をたぐり寄せる。
しかし目の前の現実が、意志を折りに来る。例えどれだけ足掻こうが月夜 鬼一は鳳 鈴音に届くことはないと、絶対防御を発動させることは出来てもその先に届くことはないと魂に囁かれる。
―――うるせえ……!
轟音を響かせる剣戟の中、鬼は歯を食いしばり魂に喝を入れる。今、そんなことでこの時間を停滞させるな。肉体が限界に達したから、理性がブレーキをかけてきているだけの言葉だと鬼一は切り捨てる。
―――っ、それが……それがどうしたぁ―――!!
ジャンク確定寸前の肉体。視界が真っ赤に染まり、脳髄をショートさせるほどの電流。
それでも限界を行使し続ける。
1?で打倒することは出来ない。
連撃を以てしても届かない。
今の段階ではいずれ敗北が見える。
獣を思わせるしなやかな動きの鈴の逆襲に鬼一は徐々に押され始める。徐々に押されるに連れて鈴のギアが上がり続けることを体感した。
無限の集中力のその果てに、僅かに、僅かながらに時が停止。
他の鬼一が見ていた景色のようにモノクロの世界。表が見ていた色くすんだ世界。そして、今の鬼一が見ている色鮮やかな世界が連続で切り替わる中、それを見てしまった
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