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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
18話 鈴戦
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傷つけられるということを。何かを得るためには何かを犠牲にするしかない、って。
 私もそこには全くの同意見よ。大切なものがあるから私たちは戦い、そしてその結果何も得られないかもしれない、何も守れないかもしれないというのも理解してる。そして何らかの犠牲が出るというのもね」

 『戦うということは大なり小なり傷つけ、傷つけられる』。僕は一夏さんにそんな言葉を吐いたのか。……馬鹿か僕は。そんな言葉は誰かに言っていいものではないのにな。

「……アホらしいけど、あいつは誰かを救うことに、守ることに異常なまでの執着心があるわ。きっと千冬さんに守られてきたからそう思うようになったんだろうけどね。そのこと自体は何も間違いじゃないわ」

 ……少しだけ危ないような気がする。守るという思いは決して間違いではない。だけど鈴さんの話を聞く限りだと、一夏さんはその誰かを守るという強迫観念のようなものに追い詰められていると感じられた。

「だけど、誰かを守るために戦う以上、必ず犠牲を出すことになるわ。それが自分なのか守る対象なのか、それとも傷つけようとする誰かなのか」

 そう、それは絶対に曲げられない不変のルールだ。戦うという選択を取っている以上、絶対に避けられない事実。僕たちだけじゃなく、過去の人間達がどれだけ足掻き続けても曲げることの出来なかった悪夢。

 もし、誰も傷つけたくないというなら少なくとも戦う以外の選択肢を見つけなければならない。戦えば必ず誰かが傷つく。自分の周りにいる人間なのか、それともそこにはいない顔も名前も知らない人間なのかという差異はあるだろうが。

 そして、その新しい選択肢でも犠牲が出る可能性は常に付き纏うことになるだろう。範囲が余りにも広すぎるのだ。

「厄介なことにあいつは『守るために誰かを犠牲にしてはならない』、なんて夢物語を本気で信じているのよ。笑っちゃうよね? そんなこと誰もが一度は信じるけど出来ないと理解して諦めるのに、きっと死ぬまであいつは諦めきれないのよ。めちゃくちゃ頑固だからねあいつ、ずっと迷って迷って迷い続けて、それでも諦めないでしょうね」

 ……数え切れないほど迷っても、どれだけ考えてもその夢物語を実行することは出来ない。現実がそれを許してくれない。一夏さんはまだ、痛みを伴う現実を知らない。いや、『何かを失ったことがない、もしくは失いかけたことがない』が正確だろうか。

 僕も鈴さんも、観客席でこの戦いを見ているセシリアさんやここにはいないたっちゃん先輩も一度はそれを信じた。誰も傷つかない未来があると、誰もが幸福になれる未来があると。そして、諦めた。いや、諦めざるを得なかった。足掻いている間に、全てを失いかねないからだ。

 だから、取捨選択をする。何を取って、何を切り捨てるのか。少しで
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