18話 鈴戦
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言えないような稚拙なものでしかない。容赦なく最速で、最短で鬼一に肉迫。それを鬼一は咎めることが出来なかった。
鈴のひと振りで右手の羅刹が切り捨てられる。更に手札が消失。残りはレール砲とブレードの夜叉のみ。しかし、羅刹が爆散する間に鬼一は再度距離を離す。
左のスパイクアーマーの球体が光る。
雨あられのよう飛来する不可視の弾丸。
「……っ!?」
基準もタイミングも、使い方が大きく変化することによって鬼一は回避することは不可能。ただ、左手の夜叉を前方に盾のように出して防御することしか出来ない。連続した衝撃の中でも鬼一は鈴の様子を観察する。
―――……そういうことか!
自分が当たっている弾丸とハイパーセンサーで観測した情報から推測。鈴は鬼一を『正確に狙っているわけではない』ことを理解。つまり、具体的なリスクとかリターンはぶっ飛ばして『当たってもいいし当たらなくてもいい、ただ鬼一に反撃させない』ことだけを目的とした攻撃。正確に当てる気ならばそのタイミングやら基準が存在する。だけど、この射撃には存在しない。
故に鬼一は龍砲を食い止める術はない。ただ受身に回らざるを得なかった。しかも自分の意識に衝撃砲の存在を強烈に刷り込まれた。ここからは常に鬼一はこの適当な射撃を意識を割かなくてはいけない。
そして同時に、圧倒的な近接スキルをも相手にしなければならない。
「はぁ!」
「―――ぐぅ!?」
双天牙月の一撃に鬼一は体勢を崩される。今までなら衝撃砲による追撃が待っていたがそれはもうない。ただ双天牙月による追撃を行うだけのこと。
体勢が崩され満足に夜叉を振ることも叶わない以上、鬼一はもうその一撃をもらうことになる。
絶対防御が発動しながらも、鬼一はアリーナと観客席の間にあるシールドバリアーに衝突する寸前で体勢を立て直す。
鬼神の両足がシールドバリアーを捉える。ギシリ、とバリアーが軋んだ。
襲いかかってくるGを耐え抜く。
バリアーを蹴り出して離脱しようと視線を鈴に向ける。
そこで鬼一は自分の『詰み』を感じ取った。感じ取ってしまった。
アリーナの端にまで追い詰められて、距離にして10メートルあるかないかの所まで鈴に距離を詰められていた。シールドエネルギーがどれだけあろうとも関係ない。
このまま脱出することも叶わずに自分は敗北することになるだろう、と。
カリカリカリカリカリカリカリカリ
そいつが出てこない限りの話ではあるが。
鬼と呼ばれるものが出てこなければの話、だが。
犠牲になるのは構わないが、だが、一方的な犠牲になるのはまっぴら冗談。それが2人の鬼一を従える鬼一の率直な感想。表の鬼一は其の辺について、非常
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