18話 鈴戦
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つけている暇がない以上、アタリをつけてレール砲の速射性能と1発ごとの火力の高さに託すしかない。
そして鬼一は成功した。鈴に10発近い弾丸を撃ち、その内の3発を叩き込んだ。鈴が満足に受身を取ることもできないということは、それ相応のダメージが入ったと鬼一は考える。つまり、絶対防御も確実に発動しているのは疑いの余地もない。
そしてこの戦略に2度目なんて存在しない。次は通用しないことを鬼一は知っている。
体力に余裕がある。思考に余裕がある。相手がリスクと安全の意味を知っているからこそ、挑むことが出来た貴重なワンチャンス。これで決着がつかないのであれば、これからの展開は今以上に悪くなることしか考えられない。
鈴は間違いなく自分の行動を修正する。その安全が自分を追い詰める要素なんだと理解して。そうなると鈴は今以上にリスクを背負って攻撃に転じるか、徹底的にリスクを排除して守りを固めるかの2つの選択を考えることになる。
守りを固められたら、その守備力を超えることはできない。かといって今以上に攻められたらそれを凌げるかも分からない。今でも厳しいと言わざるを得ないのに、これ以上強気に攻められたら潰される未来しか見えなかった。
鬼一に、一夏のような『零落白夜』があれば勝利していただろう。
自嘲するかのように鬼一は笑う。自分の火力ではどうあがいてもこの一?だけで決着をつけることは出来ないと知っているからだ。
―――……多分、性格を考えれば今以上に鈴さんの攻撃は苛烈さを増す。そして、一定のリスクを背負った正攻法に対して、地力が劣っている以上攻略することはほぼ不可能だ。それは先輩との試合が証明している。そして、時としてリスクは安全に繋がることだってある。そのリスクを僕は咎められるかは分からない。
砂埃が一閃で薙ぎ払われる。
それを見て鬼一の笑みに影が差す。
分かってはいたが、それでも希望に縋りたかった。
砂埃が晴れるにつれて甲龍が姿を表す。
だが、その姿は決して無傷とは言えないものであった。
右肩から地面に突っ込んだせいか、非固定浮遊部位の右スパイクアーマーが原型を留めていなかった。その中心にあった球体も球の形ではない。あれだけ破損しているなら、この試合ではもう使えないのは間違いないだろう。
意図してのことではなかったが、甲龍の特徴である衝撃砲の1つが潰れたのは間違いなく嬉しい誤算。
だが、それがなんだと言うのか。
そもそも、鬼一からすれば開発されたばかりの新武装など攻略の絶好の的でしかない。未知の、新しい領域に踏み込んだ武装など不完全の塊でしかなく、洗練されていないものなら付け込む余地はいくらでも存在する。そして、新武装を過信して使う操縦者など餌でしかな
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