第三百四十四話
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第三百四十四話 弟にも言われて
美樹は夕食を家族で食べていた、夕食のメニューは焼き魚と野菜のお浸しに味噌汁、それに漬けものと納豆といった和風のメニューだった。
だがデザートはオレンジでそれを食べている時にだ、向かい側の席の弟の信也にこんなことを言われた。
「お姉ちゃん最近背が伸びてない?」
「そう?」
美樹はオレンジを食べながらビクリとして応えた。
「私大きくなってる?」
「何かね」
実際にというのだ。
「そんな気がするよ」
「そうかしら」
「僕の気のせいかな」
「実は気にしてるのよ」
美樹は弟に否定せずに答えた。
「最近背が伸びてるんじゃないかって」
「そうだったんだ」
「あんまりね」
顔を曇らせてだ、美樹は信也に言った。
「これ以上伸びて欲しくないの」
「どうして?」
「背の高い女の子って好かれなさそうだから」
「そうかな」
「大き過ぎると可愛くないって」
「僕は別にそうは思わないけれど」
「お姉ちゃんはそう思うの。一六五位でね」
止まって欲しいとだ、信也にも言う。
「一七〇は絶対に嫌よ」
「僕一八〇は欲しいよ」
信也は美樹に自分の考えを告げた。
「もっともっと大きくなって」
「一八〇?」
「それ位。特撮俳優さんやスポーツ選手みたいに」
「そうなの」
「だからお姉ちゃんも背は高くていいんじゃないの?」
「だから私はね」
また顔を曇らせてだ、美樹が答えた。
「あまり背が伸びて欲しくないの」
「僕それがわからないけれど」
「信也の考えはわかるわ、その方が格好いいからよね」
「うん、そうだよ」
「お姉ちゃんは違うの、高過ぎたら可愛くない気がするから」
「それでなんだ」
「これ以上、出来れば一六五でね」
また具体的な願いを話す。
「止まって欲しいわ」
「変なお姉ちゃん」
「変じゃないわ、お姉ちゃんはそう考えてるの」
「何か全然わからないよ、大きければ大きいだけいいじゃない」
「そういうものでもないのよ」
「そうなのかな」
「そうよ」
こう言う美樹だった、この時はこれで終わったが弟にも言われて余計に背のことを気にすることになった。
第三百四十四話 完
2016・5・23
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