第六幕その九
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「是非な」
「それじゃあ」
こうお話してでした、皆で出発しようと思っていたら。
不意にです、カルロスは皆を見回して言いました。
「あっ、また」
「むっ、どうしたのじゃ?」
「ボタンがいないです」
こう王様に答えるのでした。
「また」
「そういえばそうじゃな」
「ひょっとして食べ終えて」
「運動してティーセットでお腹が膨れてじゃな」
「寝ちゃって、ですね」
「何処かに行ったのじゃな」
「そうなったみたいですね」
カルロスはやれやれといったお顔になっています。
「コーヒー飲んだ後なのに」
「コーヒーを飲んでも眠くなる時はな」
「なるんですね」
「お茶も同じじゃ」
「だからですか」
「うむ、あの子も寝たのじゃ」
何をしても眠くなる時は眠くなるというのです。
「そうなったのじゃ」
「今回は何処に行ったのかな」
「さて、それが問題じゃな」
「本当に何処に行くかわからないですから」
「ランダムじゃからな」
「完全に」
「ううんと、私の勘ではね」
ここで言って来たのはガラスの猫でした。
「猫の勘よ」
「それだと?」
「あの子は今回は近くにいるよ」
「そうなんだ」
「ええ、すぐ傍にね」
「そうね、何かね」
エリカも言います。
「お髭があの子の感覚を感じ取ってるわ」
「それじゃあ」
そう聞いてでした、カルロスは。
自分達がいる自然公園の仲を見回してです、こう言ったのでした。
「ここにいるんだね」
「ええ、間違いなくね」
「私達のすぐ傍にいるわね」
「そのことはいいけれど」
それでもと言うのでした。
「問題は何処にいるかだね」
「森の中かな」
王子は森の中を見ています。
「そこかな」
「可能性高いですね」
「うん、森の中で寝ていたら」
「簡単には見えないですね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「あそこにいるのかな」
「じゃあ森の中を探してみます?」
「そうだね、あそこをね」
「それじゃあ」
「他にも色々探すとしよう」
王様はご自身が言った通りに楽しい感じでいます、ボタンを探すにあたっても。
「この自然公園のあちこちをな」
「それじゃあ」
「うむ、探そうぞ」
うきうきとしてです、王様はです。
自ら率先してボタンを探しにかかります、しかし。
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