第56話非道なる刃
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彼らのように重力の影響を受ける事なく、平然と歩く男がいた。
長い金髪と緑色の衣、蝶のような形の緑色の羽を携えた、一見してシルフと見間違える男。GM、妖精王オベイロン。本名ーーー
『須郷伸之・・・!!』
「チッチッ。この世界でその名前はやめてくれるかな〜?妖精王オベイロン陛下と、そう呼べぇぇぇぇ!!」
須郷伸之。そう呼んだライリュウとキリトを、まるで威張り散らすかのように蹴り飛ばす。妖精王オベイロンとは本来、全妖精達にとってありがたい存在なのだろう。ならこの光景を誰かが見てしまったらーーー本当にそう言えるだろうか。
「キリトくん!!」
「どうだい!?ろくに動けないだろう!?次のアップデートで導入予定の《重力魔法》なんだけど・・・ちょっと強すぎるかな〜?」
「この野郎ォ〜・・・!!」
《重力魔法》ーーー今後のALOのアップデートで導入される予定の新要素、それが彼らを苦しめていた異変の正体であった。
身動きの取れないキリトの頭をジリジリと踏みつける須郷に対し、恋人と親友の怒りのボルテージが上がる。
「それにしても桐ヶ谷君に神鳴君。いや、キリト君とライリュウ君と呼んだ方が良いかな?どうやってここまで登って来たんだい?さっき妙なプログラムが動いていたが・・・」
本来彼らが登る事が出来ないこの場所へ来た理由を、キリトの剣を抜きながら須郷は彼らに問う。その理由はーーー
「飛んできたのさ、この羽で・・・!」
「もうちょっと随意飛行難しくしても良かったんじゃないか?スナック感覚でサクサク飛べたぜ・・・!」
そう返した彼らに対し、須郷は『フン』と鼻で笑う。
「まあいい。キミ達の頭の中に直接聞けば分かる事さ」
頭の中に直接ーーーそんなマネ、超能力者でもない限り出来る訳がない。ライリュウとキリトはそう思っていた。須郷の次の一声を聞くまではーーー
「キミ達はまさか、僕が酔狂でこんな仕掛けを作ったと思ってるんじゃないだろうね?300人に及ぶ元SAOプレイヤー、彼らの献身的な協力によって・・・思考、記憶操作技術の基礎研究は既に8割方終了している。かつて、誰も成し得なかった人の魂の直接制御という神の技を!僕はあと少しで我が物に出来る!全く仮想世界サマサマだよぉっ!!」
世界樹の上で行われていたのは、人の脳・心・魂を操作するという許される事のない大犯罪ーーー人体実験であった。そして今狂気の笑い声を上げる須郷の発した言葉に、ライリュウはアスナとの再会の前に起きた出来事を思い出した。
「お前が未来を・・・オレの妹を操っていたのか!?」
「彼女には実験の発展段階に協力して貰ったんだよ。思考の操作をせず、自分の意思とは関係なく身体を動かされる
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