第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#2
VOODOO KINGDOM
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ソレが貴様の運命の暗示と成り、能力の暗示と為る」
「あぁ……」
正直、【悪霊】に「名前」が無いのは不便だったので、
アラストールの提案は渡りに船だった。
何より形はどうあれ今日まで自分の身を護ってくれた「存在」を、
いつまでも「悪霊」と呼ぶのは気が引けた。
その承太郎の目の前で、シャナは一流ディーラー顔負けの鮮やかな手つきで
カードをショットガン・シャッフルし、滑らかな放射状に拡げて並べた。
相変わらずの技の冴えを見せつける、小さな魔術師。
「おまえには 【愚者】 か 【吊られた男】 がお似合いだわ」
口元に冷たい笑みを浮かべ、少女は殊更にいじわるな口調でそう告げる。
「……」
承太郎はその台詞を意に介さず伏せられたカードを一枚手に取り、
自分では図柄を検めずソレを指の隙間に挟んでアラストールへ開示する。
何故かシャナが横を向き小さく舌打ちした。
「名づけよう。貴様の器、『幽波紋』の名は……」
高々とその神聖なる運命の「真名」が、
深遠なる紅世の王 “天壌の劫火” の口から宣告される。
『星の白金』
本体名−空条 承太郎
能力−近距離パワー型。強靭な破壊力と超精密な動作とスピードとを互いに併せ持つ。
破壊力−A スピード−A 射程距離−C
持続力−C 精密動作性−A 成長性−A
……
…………
………………
空条 承太郎は、一人カフェの中に残っていた。
灰皿の中は煙草の吸い殻で溢れかえっている。
店内は学校帰りの学生や仕事終わりのサラリーマンやOLで込み合ってきた。
寡黙だがその風貌と存在感の為にどうしても目立つので、周囲の不躾な視線が煩わしい。
考える「時間」が欲しかった。
元来禁欲的な性格の彼だが、今は切実にソレを欲していた。
悪霊 幽波紋 炎 大太刀 念写 シャナ アラストール
今日目にした、あるいは体験したあらゆる出来事が、
心の裡で綯い交ぜになり混沌となる。
そし、て。
『DIO』
その男の姿を想い返すたびに、何故か全身の血が沸騰するほど熱く燃え滾る。
まるで溶解した灼熱のマグマの濁流が、己の裡で渦巻いているかのようだ。
頭に昇った血を冷ます為、承太郎は今日何本目かわからなくなった
煙草をその色素の薄い口唇に銜えた。
カキンッ!
澄んだ金属の着開音がしてスタンド、『星の白金』が
五芒星の刻印が刻まれた愛用のジッポライターを、
忠実な従者のように自分へと差し出して火を点ける。
しかし、その承太郎に火を捧げる屈強なる従者の姿は
何故か周囲の人間には見えていない。
「……」
深々と肺
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