第86話
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、自決する者がほとんどだったそうです。そうした屍を踏み越えながら”儀式の間”にたどり着いて……ガイさんは、ただ一人の生き残った子供を発見しました。」
「…………………………」
「ガイさんに保護された時……わたしは衰弱しきり、さらに悪魔か闇の力がわたしを蝕んでいた為一切目覚めませんでした。そしてこの病院に連れてこられ………さらにガイさんがペテレーネさんを連れて来て……目覚めなかったわたしをペテレーネさんの治療によって目覚めさせ………この翼を隠すための幻影の魔術を教わる為に、1週間ほどペテレーネさんに魔術の指導をして頂き……………その後数ヵ月のあいだ療養して………そこから先は以前、ロイドさんに話したとおりです。」
「……そうか………」
「……ティオちゃん………」
ティオの説明を聞いたロイド達は重々しい雰囲気を纏った。
「………皮肉なものですね。あれだけお世話になって感謝していた人だったのに………3年前、ガイさんが亡くなった事を聞かされた時、わたしは余り哀しくなかったんです。まるで、手に入れた力と引き換えに人間らしい感情を失ったような………そんな不思議な感慨すらありました。」
「ティオ………」
「………………………………」
「………多分わたしは聞きたかったんだと思います。眩しいくらいに前向きで力強かったあの人に……わたしのような………人間でもなく……闇夜の眷属でもない………”中途半端で欠けた存在”がどう生きたらいいのかを………でも結局、その答えは聞けず……リウイ陛下の『闇夜の眷属として生きる為にメンフィル大使館で住む』という提案に答えも出せずに、エプスタイン財団に引き取られて……そして支援課に来て、皆さんと一緒に暮らしていて………やっぱり………今でもよくわからないんです。どう、生きたらいいのか………どうして……わたしが生きているのか………わたしはレンさんのような………手に入れた力を後悔せず……逆に幸運と思えるぐらいの強さは持てないですし……答えも出せないです………」
「………ティオちゃん……!」
辛そうな表情で語るティオを見たエリィはティオに近づいて優しく抱きしめた。
「………あ………」
「いいじゃない……!わからなくったって………!そんなのは私達だってあなたと同じなんだから………!」
「……え………」
「………なぜ生きてるのか、どう生きればいいのか………そんなのがわかってる人間なんてそうそういるもんじゃないさ。俺も、エリィも、ランディも。誰だって同じさ。」
「ハハ、俺なんざ特に、自分の道を見失った口だが………それでもティオすけ。お前、真面目すぎるんだよ。そんな難しい問題を急いで解いてどうするんだ?」
「……で、でも………」
「それでも気になるなら……答えを
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