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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第530話】
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を拭うことなく、シャルは泣きじゃくりながら徐々に崩壊していく彼女に抱きついた。


「あらあら、ボーイフレンドの前なのにそんなに泣いちゃって……」


 よしよしと頭を撫でる母親に、シャルは――。


「だって、だってぇ! 僕、ずっと寂しくて……お母さんが死んじゃって――ぐすっ……」

「……ごめんなさいね、シャルロット」


 事態があやふやだが、恐らく……彼女は本当に母親なのだろう――何かで読んだが、魂という存在になっても、その存在を示す為に今回の出来事を利用したのだろう。

 詳しい原理はわからない――いや、知らなくて良いことだろう。

 今は死に別れた二人の再会に水を差すだけだから。

 既に母親の身体は腰から下が消えていて、残り時間も僅かとなったのを悟ったのか母親は呟く。


「話したい事は山ほどあるのに……時間って残酷ね」

「お母さん、やだよ! 消えちゃヤダ! 僕と一緒に、暮らそうよ! 僕を置いて逝かないでよ! 一人にしないでよ!!」


 シャルの想いが言葉に乗っていく――勿論、どれも今では無理な願いだが、彼女自身若い内に育ててもらった実の母親が今目の前にいるんだから無理もないだろう。

 困ったような表情を浮かべた母親だが――。


「シャルロット。 ……本当に貴女は一人なの?」

「……ぇ?」


 困ったような表情だった母親は、まるで聖母の様な笑みを向けて俺を見つめてくる、その視線を追うシャルは俺を見て――。


「……一人、じゃないよぉ。 ひ、ヒルトや未来、み、美冬……ラウラ……皆が、皆が……居るよぉ……」


 止めどなく流れ出る涙、何度も拭うシャル、それを見つめる母親の身体は既に胸部から下が消えていた。


「ヒルトくん、娘の事……よろしくお願いしますね」

「……はい」


 短く返事を返すと、笑顔を返す母親――そして。


「シャルロット、お母さんは側で見守ってるからね?」

「……ぅん。 ……僕、お母さんに会えたの、凄く嬉しかった」

「うふふ、お母さんもよ。 ……ヒルトくん、他の子たちも助けてあげてね。 皆が君の助けを待ってるんだから――――」


 その言葉を残し、粒子となって天へと昇る――と見せかけ、シャルの周囲にまるでくっつく様に粒子が発光していた。

 まるで彼女を守護するかのように――そして、世界が崩壊し、光が俺達を包み込んだ。


「……本当に一秒程ですわ、今しがた見送ったばかりですのに」

「うん。 向こうじゃどれだけ時間を過ごしても此方じゃ一秒程だから、ある意味厄介よね」


 そんな二人の言葉が聞こえ、見ると見送った時と同様セシリアと鈴音が居た、一秒を確認するにし
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