闇の支配者(笑)+ストーカー&ボッチ=末期
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己が実力に自信があるだけの事。
達人との実力の開きを感じられない程、彼等は墜ちた愚か者ではなかった。
「……使えん。やはり一端の『兵士』揃いでは、敵の頭足る『王』はとれぬな」
……愚か者ではない。
だが彼らにも意地と、プライドがある。
我慢出来ぬと……それでも、先とは違う鋭気に満ちた声が上がった。
「兵士を舐めるな! 盤面を埋め尽くせば王にも届き、敵陣へ切り込めば騎士とも成れるのだ!!」
「名のみ知れた処刑人が割り込んで来る事こそ可笑しいのではないか!? 宛らチェスの中に色だけ似ていると碁石を放り込むようではないか!!」
その発言は強く、強く……素晴らしく熱気に溢れた、兵士なりの意地の発露。戦士としての矜持あふれる姿を見せつけていた。
……手にテイルレッドのフィギュアを握りしめて居なければ、よりもっと。
そんな彼等を見て、ダークグラスパーは口角を上げた。
……多分、フィギュアを握りしめながら決意の一言を行った、そのお間抜けさに笑っている訳では断じてない―――と思う。
「覇気のない連中かと思うたが……フッ……その気概、気に入ったぞ!」
そして何処からともなく取り出されたのは―――年季の入った黒い携帯電話だった。
「鋭気を見せた褒美だ! わらわのメールアドレスをくれてやろう、形態を出すのじゃ!!」
刹那、ホール内が静寂に包まれた。
先までの盛り上がりが、夢幻の如く唐突にしぼむ。
皆の顔には漏れなく『え? 何で?』 と書いてあった。
「どうした! わらわのアドレスを欲する猛者はおらぬか? それとも赤外線通信機能すらついていない骨董品しか持ち得ぬと言うのではあるまいな!?」
百八十度ねじ曲がった話題からの、余りに場違いな非難だが、それを受けて尚酷いまでに無言を貫く。
スパロウギルティも無言を貫く。
「ええいパソコンのアドレスでも良いわ! エロゲ−は嗜んでおるのだろう!? ん!?」
三度、無言。
……もしかすると、属性力を感じ取れる彼等だからこそ、彼女の『イースナ』としての危うさを感知したのかもしれない。
まぁ、誰だってストーカーと連絡先など交わしたくは無い。
メールを数分に何十通も送ってくるなら尚更に。
そのままダークグラスパーが皆の背後を巡っていくも、何故か携帯が壊れて居たり、持っていなかったリと、誰も交換など出来はしない状態だった。
無言の時が、十分、二十分と過ぎ去っていき―――
「ええいもう良いわ腰抜け共!! とにかく今から此処の部隊の指揮官はわらわ!! 気に入らぬなら首を取りに来るが良い!! 勇気ある者に漏れなくメールアドレスをくれてやる!!」
―――堪忍袋の緒
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