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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
二の刻・青年期前半
第二十八話「遥かなる故郷」
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エールなんだろう?」
「お、おお。リ、リュカ殿…リュカ殿ーー!」

ピエールは騎乗していたスライムから飛び降りるとすぐさまリュカの傍まで駆け寄って片膝を付き、鉄仮面を脱いで頭を下げる。

「我が主よ!貴方様のお帰り、このピエール一日千秋の想いでお待ちしておりました。良く、良くご無事でお戻りを」

俯いたピエールの瞳からは止め処無く涙が零れ地面に染みを作り、騎乗していたスライムの瞳もウルウルと潤んでいる。
ナイトの身体が本体とはいえスライムの体もまたピエールである事に変わりはないのだから。

「ピエール。何が、この村に一体何が起きたんだ?」
「それは…」
「リュカーーーーッ!」

リュカの問いにピエールが言い淀んでいると、彼の名を呼びながら近づいて来る銀色の物体。
否、それはメタルスライムに進化した彼のもう一人の仲間、スラリンである。
ピエールと共に村の防衛の為に見回っていた時にピエールが叫んだリュカの名を聞きつけて飛んで来た様だ。

「リュカ、本当にリュカだ。リュカが帰って来たぁーーーーっ!」
「スラリン?スラリンか」
「リュカーーーッ!うわあぁ〜〜〜ん!」

リュカは泣きながら胸の中に飛び込んで来たその体をやんわりと受け止めると、涙腺が崩壊したのか、スラリンは更に大粒の涙を零してその体を彼の胸に押し付ける。

「おい、リュカ。いくら懐かしいからって…!こ、これは……酷い」

リュカに置き去りにされたヘンリーは馬車を引きながら追いついて来たが、その眼前に広がる光景に声を失う。

「リュカ…」
「クオォ〜ン」
「ブルルル」

ブラウン、シーザー、そしてパトリシアも抱き合って泣くリュカ達に何もかける言葉が無いと見ている事しか出来ないでいた。




―◇◆◇―

そんな騒ぎを聞きつけた生き残りの村の人々はピエールとスラリンの傍に居る人物がリュカであると気付くと歓声を上げて駆け付けて来た。
村が襲われたのはパパスがラインハットの王子ヘンリーを攫ったのが原因だと兵士達は言っていたが、それを信じた者は村には一人もいなかった。
故に帰って来たリュカを責める者も居らず、ただ彼の帰郷を誰もが諸手を挙げて喜び、そして彼が連れて来た魔物達の事も拒む事無く歓迎した。

「リュカ、良く無事で…良く無事に帰って来てくれた!」
「お帰り!お帰りなさいリュカ!」
「おお神よ、感謝しますぞ」

その夜は少しづつ備蓄していた食糧やリュカ達が此処まで来るまでに狩った兎や鳥などを使ってささやかな宴会が行われる事となった。

「あれ、そう言えばサンチョは何処に居るの?」

村人の中にサンチョが居ない事に気付いた彼がその事を聞くと長老が答えた。

「お前達が旅立った後に何やら胸騒ぎがすると言って
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