機動戦艦ナデシコ
1381話
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うな。
草壁自身がそう望んでも、木連の民意がそれを許さない。
悪の地球という言葉が示す通り、木連の中では地球=悪という認識と……いや、常識となっているのだから。
それを覆して地球との和平を成功させるには、色々と面倒な出来事がかなり多い筈だ。
もっとも、草壁がそれを行えば最善なのは間違いないんだが。
「そうか、そう言って貰えると助かる。木連としても、地球との和平の道を考えて欲しいところだが……」
『それは難しいでしょうね』
だろうな。
草壁の口から出たのは、予想通りの言葉。
『それより、こちらとしてはシャドウミラーと大々的に貿易をしたかったのですが……』
「それは無理だというのは分かってるだろ? 地球と戦争をしている状況であれば、こちらとしても一方に肩入れは出来ない。食料に関しての取引でも随分と譲歩したつもりなんだけどな」
木星蜥蜴が地球を追放されたという件が判明する前に地球と契約を結んだ相転移エンジンの売買に関しては停止するつもりはないが、契約を結んだ分の相転移エンジンを売ったらそれ以上の契約の延長はしないつもりだ。
そうでないと、地球に対してだけ依怙贔屓をしていると取られかねないし。
……ただ、売った分の相転移エンジンがあれば、ナデシコ級の戦艦は作れるだろうし、そこまでいかなくてもナデシコ級よりも戦闘力の低い相転移エンジン採用艦は大きく作れそうなんだよな。
そうなれば、これまで一方的だった木連の攻勢もそのままという訳にはいかない。
『そうであって欲しいとは思いますな。……正直、火星についてまだ話したいことはあったのですが、その辺は次の機会に回させて貰います』
「火星に?」
草壁の言葉に首を傾げる。
何を言っているのか分からなかった為だ。
いや、理由は分かる。火星というのは草壁……木連にとっては月に続く第2の故郷と呼ぶべき場所なのだろう。
それでもここでそんな事を言ってくるというのは、全く予想外だった。
……もしかして、火星にはまだ何かあるのか? 俺が知らない何かが……
そんな俺の表情を見て、草壁は一瞬だけ驚きの表情を浮かべる。
恐らく俺も知っていると思う事を言ったつもりだったのが、無条件でこちらに情報を渡してきたという風に捉えられたといったところか。
そんな思いを考えると、果たして草壁は何について言おうとしたんだろうな。
だが、ここで尋ねてもそれに答える事はないだろう。
こっちが何か譲歩すれば情報を渡すかもしれないが……そうなれば、基本的に地球と木連の戦争には不干渉の立場を取るというシャドウミラーとしては、いきなりそれを破る事になるのだから。
それに、情報は手に入れた。
火星にまだ何かがあると、それが分かっただけでも十分な収穫だろう。
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