第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#1
悪霊に取り憑かれた男と炎髪灼眼の少女
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あいつ? なにを勝手に苦しがってるんだ?」
悲痛なホリィの叫びとは裏腹に、傍にいる看守達はポカンとしている。
「う、うおおおおぉぉぉぉ――――――――――――ッッッッ!!!!」
己の危機に際して湧き上がった承太郎の咆吼と共に、
ソノ背後から途轍もない存在感を持った 『ナニカ』 が、
まるで空間が捻れるような異質な「音」を発して
彼の身体から抜け出るように姿を現した。
「!!」
ジョセフはその存在の「出現」に目を見開いた。
「おおおッ! 出……「出」おったッ!
よ……予想以上の承太郎のパワーッ!
ついにアレが “姿” を見せたか!」
いつのまにか、牢獄内の人数が 『一人増えていた』
否、果たしてソレを 「人」 と呼んで良いのかどうか?
その極限まで鍛え抜かれた長身の体躯を包む、
古代ローマの剣闘士を彷彿とさせるプロテクター。
剥き出しの剛腕の先端を覆う、無数の鉄鋲が穿たれたブラスナックル。
背にかかるしなやかな、しかし獅子の鬣を想わせる黒い髪。
その開けた額に白金のサークレットが嵌められた、巨大で異様な「人型」のナニカ。
ソレが血に飢えた餓狼のように承太郎の身体から躍り出て、
シャナの大刀に掴みかかっていた。
「ふぅ……ん……! ここまではっきりした「形」で出せる、なんてね……
意外だわッ!」
ソレは口元に凶暴な笑みを浮かべ、戦いの「歓喜」に打ち震えていた。
そしてその技術もへったくれもない、乱暴で一方的な圧力のゴリ押しに
シャナの片膝が意図せず湿った床の上に落ちる。
「テメーもオレと同じような…… 【悪霊】 の力を持ってるとはな……
そして、ジジイ。アンタはその 【悪霊】 の正体を」
今を以て解除されない、己の身を焼く炎の苦悶に強靱な精神で耐えながらも、
なんとか承太郎は言葉を紡ぎ出す。
「ああ。知っている。そちらのシャナは 『また違った力の発現系』 だがな。
しかし、彼女が今驚いているように 【悪霊】 の形がこんなにはっきり「視える」とは、
相当のパワーだ!」
「うるさいうるさいうるさい! 別に驚いてなんかないッ!」
奥歯をギリッと食いしばりシャナが喚く。
「でも、ジョセフ? アナタがコイツを牢から出せと言ったから、手加減したけど……
このままじゃちょっとヤバいわ……正直、肩の関節外れそう」
刀と素手の奇妙な鍔迫り合いは、明らかに 【悪霊】 の方に分があった。
シャナの片膝は地に付き、悪霊の凄貌が眼前にまで迫って来ている。
「やめ、る? このままどーしても出せッ! っていうのなら、
コイツを半年程、病院のベッドの上で暮らさなきゃならないほど、
荒っぽくやらざる負えないんだけど」
震える手で柄を持ちながらも、その可憐な風貌に似合わ
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