第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#1
悪霊に取り憑かれた男と炎髪灼眼の少女
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懇願する位苦しむ事になると想うけど」
「!」
声の主の意外なトーンに、承太郎が一抹驚きの表情をみせる。
「こいつ…… 『女』 か!?」
しかもまだ “ションベンクセェ……” と頭の中で付け加える。
それが伝わったのかどうか、シャナのイラだちが一層強まる。
「……腕の2、3本へし折っちゃうかもしれないけど、良い?」
「かまわんよ」
怒気で少々震えるシャナの言葉に、ジョセフはこともなげに応じた。
「パパ!? いったい何を!?」
「おいおい! さわぎは困るぞ!」
「だまっとれィッ!」
騒ぎ出したホリィと看守をジョセフは一喝する。
その声に、一瞬視線を逸らした承太郎の目の前に、
いつのまにか「シャナ」が立っていた。
「……!」
扉は閉じたまま、しかも鍵が掛かっていた筈だ。
抉じ開けたとしても、何の音もしなかった。
しかも、こんな数秒の間に……
目の前で備え付けのベッドの上、状況の分析を続ける無頼の貴公子を後目に、
シャナはおもむろに頭部を覆っていたフードを外した。
腰の下まで届く艶やかな黒髪が、音もなく垂れ下がり空間を撫ぜる。
その、暗闇の中で一際光る、鮮麗なる少女の姿。
白い肌、まるで磨き込まれた水晶のように。
強靱な自制心を持つ承太郎でなければ、
その清冽な美しさにしばし見入っていた事だろう。
そしてベッドの上から、承太郎は初めてシャナの姿を覗う事になった。
その身に纏った黒衣の異様な存在感で気づかなかったが、
彼女の背丈は約140p前後。
自分が立てばその腰まで届くかどうか、年もせいぜい12歳前後といったところだ。
しかしその顔立ちには、年齢特有のあどけなさが微塵も感じられない。
無表情な黒い瞳からは、何も言わなくても強い意志を感じる事が出来た。
容姿に不釣り合いな黒寂びたコートの内側は、ミッション系のセーラー服。
制服の胸元に垂れ下がった、奇妙なデザインのペンダントが妙に目を引いた。
『なんなんだ? このガキは?』
目の前の少女に対して、承太郎が最初に抱いた感想はそれだった。
自分も従順な子供ではなかったが、ここまで人間味をなくしてはいなかった筈だ。
純朴さや無邪気さ、そんな幼年期特有の柔らかい感情、
その全てが欠落、或いは剥離したような子供では。
“一体どのような人生を送れば、この歳でこんな表情が出来るようになる?”
考え込む承太郎の目の前で、
その少女の袖先から覗く細い指先がコートの内側へと潜った。
(!?)
そして、次に出てきたその手の中には、
少女の身の丈に匹敵するほどの大刀が握られていた。
どこからどう出したのか、まるで『魔術師』 のようだった。
「!」
そして承太郎は、暫(し
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