第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#1
悪霊に取り憑かれた男と炎髪灼眼の少女
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機のラジコン等、マヌケなものもいくつかあったが。
「お……恐ろしい……またいつのまにか物が増えている……!
こんな事が外部に知れたら、私は即免職になってしまう……!」
兇悪な犯罪者を見慣れている筈の中年看守が、その恐怖心を隠す事もなく呻いた。
「大丈夫……孫はわしが連れて帰る」
ジョセフは穏やかに、しかし各個とした意志を込めて看守に告げる。
「孫……?」
簡易ベッドの上で煙草を燻らせていた美貌の青年が、その一言に反応する。
脇には「ESPの全て」「神秘と魔法」「死者の書」「真紅い世界」等
オカルトじみたタイトルの書物が山積みになっていた。
それらについた付箋と折り目から、投獄中に内容は全て読破しているようだ。
「承太郎! お爺ちゃんよ! お爺ちゃんはきっとあなたの力になってくれるわ!
お願いだからお爺ちゃんといっしょに出てきて!」
鉄扉の脇で彼の母親であるホリィが叫ぶ。
承太郎は祖父の顔を一瞥すると、銜えていた煙草を吹きだした。
赤い飛沫が冷たいコンクリートの床で弾ける。
ジョセフは無言で、孫である承太郎のいる牢屋に近づいた。
承太郎もそれに合わせるようにベッドから身を起こす。
ガッッッッッッシャアアアアアアアァァァァァァァ−−−−−−−−−−−−−−ッッッッッッ!!!!!!
最後のゲートが、暴力的な音を立てて開いた。
承太郎、ジョセフ、両者共に言葉は一言も交わさなかった。
が、空気どころか空間まで震えるようなプレッシャーを伴う、二人の邂逅だった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!
「出ろッ! ワシと帰るぞ!」
「消えな……」
牢屋を挟んで、十年ぶりの再会を果たした祖父と孫。
その、最初の一言。
ジョセフの言葉が終わる前に承太郎はそう吐き捨てた。
「およびじゃあないぜ……オレの力になるだと……?
一体何が出来るっていうんだ……?
わざわざニューヨークくんだりから来てくれて悪いが……
アンタはオレの力になれない……」
そう言って承太郎は挑発的にジョセフを指差す。
「……」
その彼の指の隙間に、何か光るものが握られていた。
「はッ!」
ジョセフは咄嗟に自分の左手に視線を向ける。
頑丈な鉄製の義手、その小指部分がいつのまにか欠損していた。
凄まじい力で捻じ切られたというよりは、
余りに速いスピードで抜き取られたかのような、
眼前のその事実にジョセフは戸惑いを隠せなかった。
老いたとはいえ、かつて生物進化の究極にまで到達した太古の最強種、
『柱の男』 と戦い抜いた戦闘者である自分が、
「気配」すら感じ取る事が出
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