第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#1
悪霊に取り憑かれた男と炎髪灼眼の少女
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」
「私は【フレイムヘイズ】 “炎髪灼眼の討ち手”
『宝具』 でもなんでもないただの「鉄棒」なんか、
空中で粉々にするのはわけないわ」
問いかける承太郎に素っ気なく答えるシャナ。
意味不明な単語が幾つかあったが、
要するに自分の戦闘能力は高いという事なのだろう。
【フレイムヘイズ】というのは、こいつの悪霊の名前か?
考え込む承太郎に、
「シャナはおまえと同じような能力をもつ者。
もう牢屋内で一人、悪霊の「研究」に勤しむこともなかろう?」
口元に明るい笑みを浮かべたジョセフが、親指をグッと立てて彼を促した。
「チッ……」
言っている事は正論だが、結局何から何までジョセフのお膳立て通りに
事が運んで面白くない実孫は、苦々しく口元を歪め学帽の鍔を下ろす。
「わァ〜〜〜〜♪ 承太郎♪ ここを出るのね♪」
暗い牢屋の中から久方ぶりに姿を現した最愛の息子に、
待ちかまえていた淑女がまるで恋人同士のように承太郎に抱きつき、
その細い腕を絡める。
「ウットーしぃんだよ! この女ッ!」
苦虫を10匹まとめて噛み潰したような表情で母親にそう返す承太郎。
「はあぁ〜〜い♪ ルンルン♪」
優しい声で本当にルンルンと口に出し、
ホリィは承太郎の逞しい二の腕に頬を寄せている。
「!」
その二人の態度にジョセフはあからさまに「ムッ」とした表情を浮かべる。
「おい! きさまッ! 自分の母親に向かってアマとはなんじゃ! アマとはッ!
その口のききかたはなんじゃ! ホリィもいわれてニコニコしてるんじゃあないッ!」
「はぁ〜〜〜〜い♪」
「……」
その「光景」を、シャナは冷めた視線で眺めていた。
甘いものは大好きだがこのような「雰囲気」は正直苦手だった。
「ジジイ、ひとつだ!」
一人の淑女が醸し出す、場の甘ったるい流れを断ち切るように
承太郎は立てた指先をジョセフに向けた。
「たったひとつだけ……今……解らないことを訊く……
なぜアンタはオレの【悪霊】……イヤ……そこの「ガキ」も含めた……
とんでもねぇ能力の事を知っていたのか……? そこがわからねえ……」
「な!? ガ、ガキって……・おまえ誰に向かって!」
真っ赤になって抗議の声をあげるシャナを、ジョセフが慣れた手つきで制止する。
そして再び真剣な表情で承太郎に向き直る。
「いいだろう……それを説明するためにわざわざニューヨークから来たのだ……
だが、説明するにはひとつひとつ順序を追わなくてはならない。
これは、我がジョースター家にとても関係の深い話でな……まずこの写真をみたまえ」
静かな、しかし確固たる意志を込めて承太郎にそう告げたジョセフは、
レザーコートの内ポケットから取り出した数枚の写真を彼に手渡した。
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