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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十六話 帰還
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ままだ。

私が部屋から出て欲しいと言っても頑なに出るのを拒んでいる。私の出した指示を追認するだけの存在だ。ハイネセンに居るシトレ本部長にシャンタウ星域で敗れた事さえ私が報告せざるを得なかった。

四人の提督の顔に嫌悪と怒りの感情が浮かぶ。当然だろう、敗れたときにどう対処するかで軍人としての真価が問われる。それなのにこの無責任さはどういうことだろう。この程度の男が三千万の軍を率いていたなど余りにも酷すぎる。

「フォーク准将は何処です、総参謀長」
「フォーク准将は病気療養中です、ウランフ提督。既にハイネセンに送り返しました」
「病気? 療養中?」

訝しげに四人の提督が顔を見合わせる。おそらく四人とも今回の遠征を提案したフォーク准将を殴りたい気分なのだろう。フォーク准将が転換性ヒステリーによる神経性盲目を引き起こしたと知ったら彼らはどうするだろう? おそらく怒り狂うに違いない。

「その件も含めまして幾つかお話ししたい事が有ります。御疲れとは思いますが少しお時間を頂きたい」
そう、彼らには話さなければならない。二度とこんな馬鹿げた悲劇を繰り返さないために。




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